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その59 決闘 4番目

決闘、終了。

何だかあっけない決闘となりました。

決闘の理由は、本編にて。

そして昼休み。

健太は、言われた通りに屋上へやって来た。

屋上は、いつもよりも殺伐とした風景を見せていた。

周りには、健太以外に誰もおらず、男もまだ来ていないらしい。


「……決闘って言っても、何するんだろう?」


健太は、一人呟く。



(バン!)



その時。

屋上の扉が勢いよく開かれた。


「来てるな」

「そりゃあ、来いって言われたからには、来ないわけにはいかないし……」

「俺の名前は新庄智也しんじょうともや。空手部に入っている」


聞かれたわけでもないのに、相手は名前を告げた。

どうやら新庄智也と言う名前で、空手部に入部しているらしい。


「というか、何故僕は決闘を申し込まれたの?」


健太は、そのことが気になって仕方なかった。

なので、思い切って智也に尋ねた。


「……それは、だな」

「あの、何で顔を赤く……?」


健太は一瞬、危ない人が前にいると思ってしまった。

しかし、


「あ、いや、そんなんじゃない!俺はいたってノーマルだから、それはない!!」

「そうですか……」


とりあえず、誤解は解かれた。

そして、智也は顔を赤くしたまま、言った。


「二ノ宮、夏美ちゃんのことだ」

「はい?二ノ宮さんがどうかしたの?」


いまいち理解出来なかった。

なので、更に質問を重ねる。

すると、


「お前、最近夏美ちゃんにちょっかい出してるそうだな」

「ちょっかいって……僕は別に、不良に追われてた所を助けただけなんだけど……」

「ほぉ……フラグゲッターの噂は嘘ではなかったということか」

「どこから聞いたの、それ」


即座に健太は切り返す。

しかし、智也はそんなことは無視して、


「俺は、夏美ちゃんのことが、その、何というか……気になってるんだ。その前にお前に

 とられてなどたまるものか!!」

「あの、ちょっと〜」


もはやただの嫉妬になりつつある、決闘の理由。

そして、そのまま。


「俺が勝ったら、もう二度と夏美ちゃんに話しかけるんじゃねぇぞ!!」

「うわぁ!」



(ブウン)



空手独特の、まっすぐに飛ぶパンチが飛んでくる。

それを健太は交わす。

しかし、今度は蹴りが飛んできた。


「おっと!」


それも、しゃがむことで避ける。

そして、カウンター。



(ドゴッ)



「ぐふっ」


鳩尾に喰らったらしい。

そのまま腹を押さえて、しゃがみこんでしまった。


「……まだまだぁ!」

「ええ!まだ動けるの!?」


仕方ないので、健太はもう一度鳩尾にパンチを送る。


「がはぁ」


今度は、そのまま倒れてしまった。


「……これで、いいですよね?」

「……まいったな。完全に負けた」


仰向けに倒れたまま、智也は呟いた。


「……負けたからには、俺は夏美ちゃんから手を引くことにするよ」

「……いや、別にそんなのどうでもいいじゃないか」


健太は言う。


「二ノ宮さんのことが好きなのなら、その気持ちを捨てないでよ。ただ、僕の友達

 にも、二ノ宮さんのことを気にしている人もいるから、くれぐれもお気をつけを」

「ま、待ってくれ!」


立ち去ろうとした健太を、智也は引き留める。


「?何?」

「最後にひとつだけ教えてくれ。お前には、好きな人はいるのか?」

「……」


健太は、言葉に詰まる。

そして、


「……僕には、まだ、『好きな人』と呼べる人はいないよ。ただ」

「ただ?」

「……失いたくない友達と、大切な人は、いる」


それだけを言うと、健太は教室へと戻って行った。















そして、なんだかよく分からないまま、体育祭の日はやって来た。

















次回は、「体育祭」編の始まりです。

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