その58 決闘 3番目
三番目です。
ついに決闘の申込みがされました。
HR終了後。
「いやぁ、まさかそんなことがあったとはな……」
「正直、僕も驚きだよ」
いつものメンバーで集まって話をしていた。
内容は、先ほどの球技大会についてだ。
「しかも、体育祭のすぐ後とは……陰謀ね」
「ま、俺達は健太の活躍でも見ることにしますか」
吉行は、部活に入っていないので、当日は見学者となる。
「俺はバスケで参加か」
「私とかなえも、見学ね」
「ボクもだね」
大貴はバスケ部に入部している為、バスケで出場。
美奈は吉行同様部活に入っておらず、かなえは吹奏楽部なので見学。
マコも部活には入っていない。
その理由は、仕事等で忙しいからだ。
「でも、この学校にソフトボール部なんてあったっけ?」
「女子のはあるよ。多分、男子は野球、女子はソフトなんじゃないかな?」
吉行の質問に、健太が答えた。
「さっきの先生の説明は、足りない所があったんだな」
「多分、男子は野球・サッカー・バスケの三つ、女子はバスケ・ソフトの二つだと思う」
「外川……マヌケね」
外川批判を、美奈はしていた。
「頑張ってね、健太君!」
「当日はボクも応援するからね!」
「……多分、先輩が出るんじゃないかな?」
健太は誰にも聞こえないような小さな声で、そう呟いた。
一時間目の授業が終了し、10分休憩。
健太は、トイレに行くために、教室を出た。
その帰り道に、
「あ、健太君」
「その声は……二ノ宮さん!」
夏美と出会った。
「聞きました?今朝の話」
「今朝の話?……ああ、球技大会のこと?」
「はい」
笑顔で夏美は答えた。
健太は、その夏美の笑顔に、一瞬ながら、ドキッとしてしまった。
「やっぱり、可愛い……」
「ふぇ?」
(ボン)
思わず健太が呟いたことを、夏美は聞いていたのか、顔を赤くしていた。
「あ、いや、その……ごめん」
「へ?い、いえ、少し驚いた、だけ……ですから……」
顔を赤くしたまま、夏美は顔を俯かせる。
恥ずかしいのか、その声はだんだんと小さくなっていた。
「も、もうすぐ授業も始まるから、僕、行くね!」
(ダッ!)
「あ……」
健太は、そのまま教室へと戻ってしまった。
残されたのは、顔を赤くしたままの状態でその場に立っている、夏美のみとなった。
そんな二人のやり取りを、後ろの方からのぞいていた男がいた。
「……アイツ、生意気だ」
その目は、闘志に満ち溢れていた。
その男は、健太の教室へと猛ダッシュで向かい、
(バン!)
勢いよくドアを開ける。
そして、
「木村、いるか!!」
健太の苗字を叫んだ。
「……僕だけど?」
健太は、男のもとへ向かう。
教室内は、さっきまで雑談の声が聞こえてたが、今ではそれも聞こえなくなっていた。
「お前が、木村健太だな?」
「そうだけど……何か用事?」
「……昼休み、屋上に一人でこい」
「……何するの?」
「決まってるだろ」
男は、無意味に右手人差し指を健太に向けて、
「決闘だ!!」
と、告げた。