その57 決闘 2番目
まだ決闘には入りません。
というか、今回のお話は、ちょっとした伏線を張っております。
「……頑張れよ、木村」
「え?」
いつの間にか話を終えていたらしい大貴は、健太の肩を叩いて、自分の席へと戻った。
その時。
(ポン)
健太は、誰かに肩を叩かれる。
後ろを振り向いてみると、怒ったような形相を浮かべている吉行が、そこに立っていた。
「ど、どうしたの?」
「健太……お前……ちゃくちゃくとハーレム化を進めおって!!」
「え?な、何のことだよ!?」
健太にとって、まったく身に覚えのないことだった。
というか、『ハーレム』という言葉自体、健太は知らなかった。
「とぼけるな!相沢に早乙女にMAKOちゃん!その範囲をどれだけ広めたら気が済むんだ!」
「ちなみに、私の情報だと、もうすぐ生徒会副会長も落ちるわね」
「何!?」
吉行が反応する。
健太は、何のことやらという顔をしていて、かなえとマコは、顔を赤くしていた。
「お前……とうとう先輩にまで!」
「いやいや、誤解だから!!」
健太は反論した。
「唯一救いがあるとすれば」
と、美奈が言ってから、こう続けた。
「私と、転校生のえりなっていう人が、健太君に対して好意を持ってないことね」
「え?えりなって、隣のクラスに転校してきた人のこと?」
誰かが尋ねる。
その質問に、美奈は『ええ』と答えた。
「ふ〜ん、健太と関係ある人にしちゃあ珍しいな」
吉行がブツブツと呟くが、誰にも聞こえていなかった。
その時。
「お〜い、席に着け〜」
外川が入って来て、そう言った。
言われたとおりに、みんな自分の席へと座る。
それを確認すると、外川はHRを始めた。
「今日の連絡は……もうすぐ我が校では体育祭があるな」
「え〜」
「そこ、嫌がっても無駄だ。もう決定事項なんだからな」
クラスメートの誰かが嫌がるのを見て、外川がそう言う。
「体育祭もありながら、実はその後に、ちょっとしたイベントが用意されたんだよ」
「ちょっとしたイベント、ですか?」
健太が外川に尋ねる。
外川は、クラスメート全員に言った。
「学校対抗で、球技大会をすることとなったんだ」
「球技大会……」
「ていうか、学校対抗って、どんな大会何だ?」
教室内がざわつき始めたので、外川はそれを黙らせる。
それから、説明を始めた。
「この中で、球技系の部活に入っている奴。手を挙げてみろ」
健太を含め、何人かが手を挙げる。
「実はな、里川高校、四季高校、相馬学園、大木学園、牧村高校、大山高校の六校で、
球技大会をすることが決定したんだ」
「そ、そんなことが決定してたんですか?」
誰かが外川にそう言った。
「競技は、野球・サッカー・バスケ・ソフトボールの四つだ。どれも男女別でだ。多分今日の
部活で言われるだろうけど、あらかじめ言っておいた」
その事を言うと、外川はいつも通りのHRを始めた。