その56 決闘 1番目
「決闘」編の始まりです。
まぁ、まだ決闘は始まりませんけど。
朝の教室内。
「よう、健太」
「おはよう、吉行」
いつも通りに、健太と吉行の二人は挨拶を交わす。
ただ、吉行はしきりにあくびをしていた。
気になった健太は、
「どうしたの?吉行。眠そうだけど」
と尋ねた。
すると、
「ああ、ちょっと遅くまでテ○ルズやっててな……ふわぁ」
「テ○イズ?ああ、あのCMでやってるゲームね」
理由はかなりしょぼかった。
「どのテ○ルズをやってたんだ?」
そこに、大貴も入って来た。
「あ、おはよう大貴」
「おはよう」
大貴は、健太にそう挨拶すると、
「それで、シリーズは何だ?」
と尋ねて来た。
というか、大貴もやっているのだろうか?
「ア○スだよ!最近アニメでやった……」
「ああ、あれか」
「あれは10周年作品だけあって、曲もシナリオも戦闘もいいんだよな〜」
吉行は、そのゲームの凄さを語りだす。
大貴もその流れに乗って、
「俺はどっちかと言うとシン○ォニアの方がいいと思うけどな」
「確かにそれもいいな!」
「あれ……?大貴ってこんなキャラだったっけ?」
どうやら大貴は、見かけによらず、ゲームをやっているようだ。
ただ、後で健太が大貴に聞いてみたところ、やってるゲームはテ○ルズ関係のみだそうだ。
(ガラッ)
「おはよう、みんな」
「おはよう、かなえさん」
今度は、かなえが教室に入って来た。
その横では、まだ二人によるテ○ルズ談義が続いている。
「レジェン○ィアは曲とシナリオはいいんだけど、戦闘がな……」
「シナリオ好きにはたまらない作品だけどな」
「主題歌も捨てられないわよ」
「「「うんうん」」」
「……あれ?いつの間に美奈さんが?」
何故か美奈が、二人の会話に参加していた。
しかも、ドアが開いた音なんて、健太の耳には聞こえていなかった。
「まぁ、美奈だからね」
の一言で片付けられてしまったが。
(ガラッ)
今度は、ちゃんと音が聞こえた。
そして、入って来たのは……。
「あ、マコ。おはよう」
「おはよう、健太君、相沢さん、みんな!」
「おはよう、雛森さん」
マコが元気よくみんなに挨拶をする。
それぞれおはようと返すと、三人は再び、テイ○ズ談義に戻って行った。
「な、何を話してるの?」
「何か、ゲームについて話してるみたい」
「僕達はとてもじゃないけどついていけないよ……」
健太とかなえは、すでにお手上げ状態だったらしい。
「ところでさ、マコって今月はもう仕事ないの?」
健太が、マコに尋ねる。
「うん。来月のはじめに歌番組の収録があったり、新曲を書いたりすることとかあるけど、
それ以外はほとんど休みだよ♪だから、学校にもほとんど毎日通えるんだ♪」
「よかったね、マコ」
「うん!」
周りを癒すような笑顔を、マコは無意識の内にする。
その笑顔に、心奪われた男子生徒も、少なくない。
「学校、楽しい?」
かなえはマコに質問する。
すると、
「楽しいよ。勉強も出来るし、友達と話せるし」
『それに』とつづけて、マコは言った。
「健太君もいるしね♪」
言いながら、マコは健太の腕に抱きつく。
その時。
(ピシッ)
どこかから、何かが切れる音がした。