その51 約束を果たす時 1番目
さぁさぁやってまいりました!
今の所私お気に入りのヒロイン、マコのお話です!!
え?何故好きかって?
いや、健気だからです。
いえ、別に(21)じゃないですからね。
5月4日月曜日。
G.W二日目。
美咲は、こっちに来てから友人が出来たのか、その友人と買い物に行くと言って、
出かけて行っていた。
これがチャンスだと、健太は思えてしまっていた。
実はあの後、健太は美咲に散々怒られたのである。
吉行からの脅威から救ったのと、かなえとのデートは、どうやら秤では測れなかったらしい。
とは言っても、黙って行ってしまった自分も悪かったと、健太は反省していた。
そして現在、健太は沢渡橋にて、ある人を待っていた。
本日の健太の服装は、先日の物とほとんど同じ。
しかし、青色の帽子を、少し深めに被っていた。
理由は、道中で美咲と遭遇した時を考慮して、とのことだ。
「……9時40分。ちょっと早かったかな」
橋の手すり部分に体を預け、健太はそう呟いた。
帽子を被りなおして、健太は橋の向こうを見た。
来るべき人は、まだ来ていない。
「……『約束』か」
無意識のうちに、健太はそう呟いていた。
「変装もして来たし、多分大丈夫だよね♪」
スキップしているかのような元気さで、一人の少女はある場所を目指して歩いていた。
その場所は、『沢渡橋』。
そこで、ある人物と出会うこととなっている。
ある人物とは、六年ぶりに再開したばかりの男子生徒のことを指す。
「でも、変装したボクのこと、気づいてくれるかな?」
何故彼女は変装しているのか?
何を隠そう、今テレビで話題の、MAKOというのは、彼女のことだからである。
本名、雛森マコ。
茶色のショートヘアー、パッチリとした薄茶色の瞳、星型のヘアピンをつけているのが特徴。
本日のマコは、いつもと同じのスカートの短いワンピースを着ているが、色は赤色で、その
ワンピースの上には、白い上着を着ていた。
彼女は、ワンピースという格好でいることが多いのだ。
「お気に入りだからね♪」
本日、彼女は、六年前の約束を果たすことが出来る。
だが、その『約束』を果たすには、更に約束を重ねる必要があった。
こればかりは、揺るがなかったのだ。
「だから、あんまり約束って言葉、好きじゃないな〜」
いつしかマコは、約束を結ぶことに抵抗を感じていた。
しかし、今日一日で、六年前の約束を果たすことによって、その抵抗も感じなくなるだろう。
「あ、健太君だ」
変装の為に、マコはメガネをかけている。
度はもちろん、入っていない。
「健太君、気づくかな〜♪気づかなかったら、おしおきしちゃおうかな♪」
楽しそうにそう言いながら、健太の元へと向かって行った。
「ん?誰かこっちに来る」
健太は、橋の向こうをふと眺める。
すると、向こうから、走って来るような勢いで、こっちに向かってくる影が一つ、そこにいた。
「多分あれは……ん?メガネかけてる。そっか、変装してるんだね」
健太は、その正体が、自分が今まで待っていた相手だとすぐに分かった。
その人物が、健太の近くまでやって来たことを見計らって、
「マコ」
と、その人物の名前を呼んだ。
呼ばれたマコは、少し驚いたような顔をして、
「どうしてボクがマコだって気づいたの?」
「メガネをかけて変装したって、さすがに僕は分かるって。なんて言ったって、昔からの
大事な友達なんだから」
「健太君……(でも、そこは恋人って言ってほしかったな)」
「?何か言った?」
「あ、いや、なんでもないよ!」
顔を赤くして、両手を振るマコを見て、健太は不思議に思った。
「そ、それじゃあ、行こっか?」
「うん!」
こうして、マコと健太の、二人きりの一日が始まった。