その48 展覧会 4番目
マック(あのマックとは違います)の出来事です。
この話、後2話くらいは続きます。
現在、午前11時29分。
後何分もすれば、お昼時となる時刻。
健太とかなえは、美術館を出て、どこで昼ごはんを食べようか考えていた。
「近くにおいしい店があればいいんだけど……」
「あ、あそこにマックがあるよ」
「よし、そこで食べよう」
どうやら場所は決定したようだ。
「……ところでさ、かなえさん」
「何?」
「……その、手……」
「!!ご、ごめんなさい!」
(バッ)
館内からずっと、二人は手を繋ぎっぱなしだった。
それだけに、かなえは、それが自然だと思ったのかもしれない。
「けど、館内ではどうしたの?」
「え?」
「僕が無意識の内に手を繋いだ時、離そうとしなかったけど……」
「……」
かなえは、無言になる。
そして。
「……なんでも、ない」
「……そう?」
笑顔でそう言われたので、健太はそれ以上追及することが出来なかった。
しかし、その笑顔は、何やら無理して出したもののようにも思えた。
「と、とにかく。早く昼ごはん食べに行こうよ!」
「う、うん」
重い空気を払拭するため、健太はかなえを連れて行った。
「……何だか、わけありっぽいな。相沢の奴」
「そうなのかな?」
「……ああ、きっとそうだぜ。そして、ひとつ言えることがある」
「何でしょう?」
美咲は、次の吉行の言葉を待つ。
そして、吉行は言った。
「あれは、フラグが立ちそうだな」
「ふらぐ?旗のことですか?」
美咲は、どうやら『フラグ』の意味を知らないようだ。
「まぁ、旗って言う意味ではあってるんだけど、ここでの『フラグ』はちょっと違う」
「?どういう意味ですか?」
「まぁ、簡単に言ってしまえば、惚れるってことだな」
「……それって、無茶苦茶危険じゃないですか!?」
意味を知った時。
美咲は、ライバルが増えてしまったことを悟った。
「ま、いいじゃないか。ライバルが増えて何ぼだぞ?」
「まともな恋愛したことない人が、そんなこと言わないでください」
「がはっ!」
(グサッ)
吉行に精神的ダメージ。
「ともかく、行きましょう!」
「あ、ああ……」
吉行の残りHP498/1000。
「いらっしゃいませ。こちらでお召し上がりですか?」
「はい」
「ご注文は?」
「え〜と、ポテト2つとハンバーガー2つ。飲み物は、オレンジジュースとコーラで」
「畏まりました」
マニュアル通りの応対をする店員。
かなえは、自分の分は自分で出そうとしたが、健太が全額出すと言ったので、お言葉に甘える
ことにしたらしい。
「では、しばらくお待ちください」
そのまま店員は、奥へ引っ込んでいった。
隣では。
「払ってくれますよね?」
「何言ってるんだよ。割り勘だ。これだけは譲らない!」
「……払ってくれないんだ……お兄ちゃん……」
「ぐっ!こ、これは……男にその表情を見せられたら、払わなくてはいけないような、
そういうお決まりの……分かったよ、払うから。その表情で上目遣いは卑怯だから。俺の
理性がもたないから」
「わ〜い!」
「あがっ!落ち着け、落ち着け、俺……」
この一連の流れで判明したことが一つある。
……吉行は、ロリコンである、ということだ。
吉行の残りHP400/1000。