その40 五月 4番目
ついに40話です。
いやぁ〜早いものですね。
というか、はじまって1か月たってないのに40話って、どんだけ!?
(ガスン)
しかし、それは不気味な音をたてて、地面に当たった。
犯人の横を通り過ぎたのだ。
「あれ?何で当たらないのかな?」
「くそっ!」
(ブン!)
吉行は、必死に相手に当てようとする。
しかし、何度やっても当たらない。
「君、ちょっと下がってて」
「あ、うん」
健太は、女子生徒を後ろに下がらせると、
「吉行、ちょっと借りるよ」
(パシッ)
「あ、おい健太!」
吉行は、健太に何かを言おうとする。
しかし、結果的に、それは無理だった。
なぜなら。
「吉行、ちょっと見てて」
「あ、ああ……」
健太に、実質的に止められたからだ。
「何だい?次の相手は君か。まったく、俺に殺されたいのかい?」
(ギラリ)
不気味に、犯人の持つナイフが輝く。
「それが、どうしたんですか?」
「はぁ?」
健太は、鉄パイプを構えると、剣道の要領で、それを振った。
(ブウン)
「そんな攻撃効か……グフゥ!」
(ドス)
犯人に最初の一撃を避けられることを想定していた健太は、それを鳩尾に突き刺した。
いわゆる、『胴』である。
「が……はぁ……」
「もうこんなことしないでくださいよ、まったく」
(ギュッ)
とりあえず、近くに落ちていた縄を使い、犯人の体をグルグル巻きにすると、健太は吉行に、
「吉行。警察に電話をお願い」
「分かった!」
吉行は、ポケットから携帯を取り出すと、今のことを警察に話した。
その横で、
「あ、ありがとう」
「どう致しまして。でも、お礼なら、今電話してる吉行に言った方がいいよ。吉行が裏路地で
張り込みしようなんて言わなければ、僕達は出てこれなかったから」
「……うん」
女子生徒は、頷いた。
その時、ちょうど電話をし終えた吉行が、戻ってきた。
「10分後に警察が来るってよ」
「御苦労さま。あ、この人がお礼をしたいって」
「さっきは、助けてくれて、ありがとう」
「いいっていいって!それに、最終的に活躍したのは健太だしな。おいしい所を取られたな」
「いやいや、そんなことはなかったよ。吉行もかっこよかったし」
健太は、素直に吉行を褒める。
「そ、そうか?照れるな〜」
「……まぁ、女の子も無事だったし、警察が来たら帰ろっか?」
「だな」
「あ、あの!」
「「はい?」」
呼ばれた二人は、揃って振り向いた。
「名前を教えてくれない?」
「名前?うんいいよ」
健太は快く返事すると、
「僕は木村健太」
「俺は海田吉行。君は?」
「私は神内えりな。今日は助けてくれて本当にありがとう!」
えりなは、笑顔で二人にお礼を言った。
「ということがあったのよ」
「あ〜あったね、そんなことも。あの時の女子生徒が、君だったのか。通りで名前が同じだと
思ったら」
健太は、今のえりなの話を聞いて、思いだしたようだ。
「いやぁ〜その頃と比べて、随分変わったもんだな」
「当然でしょ」
「何というか、少し気が強くなったよね」
健太がそう言ったその時だった。
「健太君〜!!」
誰かが健太を呼ぶ声が聞こえて来た。