その30 とある少女との過去 2番目
いつの間にか30話です。
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どうもありがとうございます!!
これからもよろしくお願いします。
「ただいま〜」
「お帰り!」
(ギュッ)
家に帰って来た健太は、真っ先に妹の美咲に抱きつかれた。
前にも述べたことがあるだろうが、美咲はブラコンなのである。
これにはきちんと理由があるのだが、後に語ることにしよう。
「ねぇ美咲」
「何?お兄ちゃん」
自然と上目づかいになっている美咲がそう尋ねて来る。
その表情は、笑顔。
そんな顔で見つめられたら、その手の男子がオチてしまうだろうと思われるほどの。
「今度の日曜日にみんなでコンサートに行くことなったんだけど、美咲も行く?」
「うん!……ってみんなって誰?」
元気よく返事をした後、首を傾げて尋ねて来た。
「美咲が知ってるのは、吉行くらいかな……後は大貴って言う人と、かなえさんって言う人」
(ピクッ)
『かなえさん』という単語が聞こえた瞬間。
美咲の頬が若干引き攣った気がした。
「ねぇ……かなえさんって誰?」
案の定美咲はかなえのことを聞いてきた。
「ああ。そう言えば美咲は知らなかったっけ」
納得したように健太は言う。
そして、かなえが自分のクラスメートであることを説明した。
「……その人とは何の関係もないの?」
「うん。特に何も。友達だよ」
戸惑いも見せずに、素直に健太は答える。
それこそ、その潔い言葉を聞いたらかなえがガッカリするのはないかと思うほど潔い言葉を。
「……ならいいや♪」
「うわっ!」
(ドスン)
あまりの勢いに健太は、美咲に馬乗りされる形で床に倒れこんだ。
嬉しいのか髪留めからわずかに出ている髪の毛がピョコピョコと動いているように見える。
「所で、誰のコンサートに行くの?」
「えっと……確か『MAKO』って人だったかな?」
「MAKOって……あのMAKO!?」
美咲はかなり驚いていた。
「よくチケットとれたね!?」
「いや、吉行曰くあの手この手を使ったんだとか……」
「あの手この手って何……?」
誰にも聞こえないような声で美咲は呟いた。
「でさ、美咲。その『MAKO』ってどんな顔してるの?」
「……もしかしてお兄ちゃん。顔、見たことないの?」
「うん」
即答だった。
「……」
(スクッ)
「……?」
健太は一瞬、この美咲の行動が示す意味を理解することが出来なかった。
とりあえず健太は、倒れていた体を起こす。
その時には、美咲がテレビのスイッチをつけていた。
歌番組なのか、歌手達がたくさん登場していた。
「ほら、この人がMAKOだよ」
テレビ画面に映る、一人の少女を指さして、美咲が言う。
その瞬間。
健太の顔に、驚きの色が染められていた。
「……似てる」
「へ?」
思わずそう呟いていた。
「あ、いや、なんでもないよ」
健太はそう答えた後、もう一度テレビ画面を見た。
「……お兄ちゃん?」
美咲が尋ねて来るが、健太は反応出来ないでいた。
テレビ画面に映されている、笑顔で質問に答える少女。
かつて健太が出会ったことのある少女と、その姿が重なる。
「―――指きりげんまん、だよ?」
六年前にその少女と、ある約束を結んでいた。
テレビから聞こえる、少女の明るい声を聞くには、部屋中に響き渡る時計の針の音がうるさかった。
ちょっとしたお知らせです。
何かこんなシチュエーションがあったらやってほしいなどのシチュエーション募集をしたいと思います。
番外編等でそのシチュエーションを活用していく予定です。
本編に近い内容や、いきなりSFチックになるような物。
ひたすらシリアスなもの、とことんバトル的な物。
なんでも結構です。
どしどし応募してください。
常時募集いたします。
それでは。