その25 ハイキング 2番目
2番目です。
ハイキングと言えば、山ですよね?
……山の中とかじゃなくて、ハイキングって言うのか?
最後の方は半ば適当です。
そして、現在に至るわけである。
「吉行〜もう朝だよ〜」
健太は、未だに睡眠中の吉行を起こそうとしている。
が。
「う〜ん、むにゃむにゃ。いちゃいちゃパラダイスだぜ〜」
(ブチッ)
健太の中の何かが切れた。
「吉行ー!!」
「ぐはぁ!!」
吉行の悲鳴は、この宿の隅から隅まで伝わったという。
そして2時間後。
朝食を済ました後、健太たちはハイキングに出かけることとなった。
昼ごはんに関しては、宿のほうでお弁当を作ってくれたものらしい。
「で、何でオレの頬はこんなにも真っ赤なんだろう?」
「さぁね」
山道を歩きながらの吉行の質問を、健太は露骨に無視した。
「おい。オレの質問くらい答えろよ」
「いや、答えたよ」
「あれで答えたつもりかよ!!」
「まぁまぁ二人とも」
何故か仲裁役となっている大貴は、二人の喧嘩を(というよりも、吉行の一方的な怒り?)
止めようとしていた。
「ほぉ〜なかなか見ごたえのある少年じゃないか。大貴というやつは」
「そうかな〜?別に普通だと思うけど……」
「あなたは、健太一筋だもんね」
「い、いや……そんなことは……」
美奈の指摘に、かなえは思わず黙り込んでしまう。
その間は、肯定の意を表すものとは、かなえは気づいていない。
なお、このハイキングだけは両校合同のものではない。
なので、現在この場には、愛とかはいないはず。
「あいつめ〜」
はずなのだが……。
「あんな子がいるというのに、愛ちゃんまで……!!」
長くて太い木の後ろに隠れているのは、直樹だった。
どうやらこっそり抜け出して、健太を尾行しに来たらしい。
しかし、これはどう考えてもストーキングにしか見えない。
一歩間違えると犯罪になってしまうこと間違いなし。
そんなことはお構いなしに、直樹はさらに言葉を紡ぐ。
「しかし、この旅行も終わってしまえば、健太はいなくなる」
直樹の口元は、少しばかり緩んでいた。
「まぁせいぜい今の幸せを楽しんでいるがよい」
なんか、悪役めいた言葉を放ち、直樹はさらにストー……いや、尾行を続けた。
「ところで健太。なんだかさっきから後ろから視線を感じるのだが、気のせいか?」
「うん。たぶん気のせいだと思うよ」
その視線が、直樹の物であるということは、当然健太たちは知らない。
「なぁ健太。相当歩いたんじゃないのか?」
「そうだね。後ちょっとで頂上じゃないかな?」
「やっと頂上につくんですね」
「いよいよね〜」
上から順に、吉行、健太、かなえ、ミサの順番で発せられた。
「お、おい!ちょっとあれ!!」
ここで突然、大貴の叫び声が聞こえてきた。
「え?」
健太たちがその声に反応して後ろを振り向くと、そこには。
「グオォォォ!!」
大きな大きなクマさんがいたわけで……。
「く、クマだ!!」
「間違いなくクマだ!!」
「どこからどう見てもクマだ!!」
「地球が自転をやめたとしてもクマだ!!」
「サインくれ!!」
「帰れ!!」
「いやっほ〜う!!」
「よろしく、ね!」
「くっま〜!!」
「○リ○リハンターズ最高〜!!」
「いや、なんかもう意味わかんなくなってるから」
クラスメートによる膨大な量のボケを、健太はその一言でぶった切った。