その249 終業式 2番目
「……で、あるからして」
「長いな……校長の話」
「……そうだね」
どこの高校でもそうだが、とにかく校長先生の話と言うのは長い。
誰もが経験したことがあるだろう、倦怠感。
健太達は今、それに襲われていた。
「ったく、早く終わってくれよ……校長の話」
「まぁ、校長先生の話終わっても、次は生徒会長の話があるけどな」
「まだ生徒会長の話の方がいいぜ……何せ同じ高校生だから、まだ聞けるってものよ」
そんなことを話している内に、校長先生の話は終わっていた。
『続きまして、来年度より生徒会長になられる、真鍋瑞穂さんです』
「お?ようやっと新生徒会長様のお出ましだな」
吉行がそう言うと、檀上に瑞穂が上がる。
一礼。
それと同時に、全校生徒も一礼。
そして、瑞穂は話しだす。
「みなさん、おはようございます」
「「「「「おはようございます」」」」」
何人分かの声が重なる。
全員分でないのは、この中に欠席している者が何人かいるから。
それと同時に、恐らく話を聞いていない人がいるだろうからである。
「この度、次期生徒会長に任命されました、真鍋瑞穂です」
「相変わらず凛とした声してんな~」
吉行は思わず呟いてしまう。
だが吉行自身は、瑞穂のことは少々苦手なのである。
理由を述べるには、数か月前の話をしなければならないので、ここでは省かせていただく。
「この学校をよりよくするため……私は一生懸命努力することを誓います。ですからみなさん、どうか
来年度の一年間、よろしくお願いします」
(ペコッ)
お辞儀をして、瑞穂は言う。
「それでは、私からの言葉は以上です。御清聴ありがとうございました」
そして、颯爽と瑞穂は檀上より降りた。
(パチパチパチパチ)
そして体育館に鳴り響く、拍手の音。
それは、新生徒会長を歓迎するものであった。
『それでは最後に、生徒指導部である外川先生からのお話です』
「え?先生って、生徒指導部だったの?」
今まで知らなかった事実に、健太は少し驚きを見せる。
「みんな、おはよう!」
「「「「おはようございます」」」」
先ほどより少ない声の量。
それにムッとしたのか、
「声が小さいな……おはよう!!」
「「「「「「おはようございます!!」」」」」」
今度は全員分の声が響く。
半ばヤケクソに叫んでいる者もいた。
「小学生か……」
大貴は、思わずそんなことを呟いていた。
構わず外川の話は続く。
「今学期は今日を以て終了ということになるが、4月になったら、お前達は上級生となる。今二年生
の者は受験が待ち受けているし、今一年生の者は、後輩が入ってきて、先輩としての自覚をすること
になる。そこで、来年度の始業式の日には、全員この体育館に集まれるように、体調管理には十分注意してくれよ。俺からの話は以上だ。みんな、また四月ぬ会おう!」
爽やかな笑顔を残し、外川は壇上より降りた。
「「「「「……」」」」」
『……これで、終業式を終わりにします』
微妙な空気が流れる中、終業式は幕を閉じた。
残り後一話!!
いよいよ次回は最終話です!!
ちなみに、最終話の後は、座談会的なものをやります。