その247 告白 7番目
「!!」
健太は今日、初めて知った。
自分達二人は、両想いであったという真実に。
「……なんだ。私達、両想いだったんだね」
「……そうだね」
二人は笑顔で答える。
自分達の想いが、同じであった。
その真実は、とても優しい真実であった。
これほどのハッピーエンドは、なかなか存在しないことだろう。
「……私達、幸せ者だね」
「だね。僕達の想いは、同じところにあって、それが今日、ようやっと互いに伝えることが出来たのだから」
この二人に、もう不安はない。
それを象徴するかのように、雲はどんどんなくなって、晴れていく。
「……ねぇ健太君」
「何?」
「……キス、してもいいかな?」
「え?キス?」
その言葉を聞いて、健太は少し動揺の色を見せる。
その言葉通りのことを実践しようと、かなえは健太に歩み寄る。
「え、ちょ……」
健太が何かを言う前に。
二人の唇は、音もなく重なった。
時間にして、およそ30秒。
いや、実際の所10秒もなかったのかもしれない。
しかし、二人にとっては、とても長い10秒。
二人のキス自体は、これが初めてというわけではない。
以前に体を由美と大地に貸した時に、互いのファーストキスは、済ませてあった。
だが、二人の意志でキスをするのは、これが初めて。
すなわち、本当の意味でのファーストキスは、今回が初めてとなるのだった。
「……ぷはっ」
「……」
惜しむように、かなえは唇を離した。
健太の目から見て、今のかなえは、とてつもなく綺麗であった。
「……キス、しちゃったね」
「……うん」
顔を赤くして、二人は言う。
「……ねぇ、もう一回、してもいいかな?」
「え?」
意外にも、今度は健太からそう言ってきた。
勿論、その顔は赤い。
「……なんだか不思議な気分で。体が少し熱くて……それでいて、もう一度、キスしたいって思って」
これは嬉しい変化であった。
今までの健太なら、こんなことは言わなかっただろう。
しかし、想いが通じ合った今だからこそ。
健太はこんな言葉を言えるようになったのだ。
「うん……いいよ。私も何だか物足りないって考えてた所だから」
かなえは、健太のそんな欲求も、受け入れた。
恐らく、健太がそんなことを言わなければ、自分から言っていたかもしれない。
「じゃあ……」
もう一度、互いの顔は近づいて行く。
そして、その唇は、もう一度重なった。
ここに、健太とかなえの恋物語は、ハッピーエンドを迎えた。
しかし、二人の物語は、まだまだこれからである。
今後の二人が、どのような物語を歩むのか。
それは、二人の今後の行動にかかっていることである。
この物語は、見えない所でまだ続くのであった。
『私立相馬学園 ~a daily life~』完結まで、後3話!
最後までとうか応援よろしくお願いします!
次回は……『番外編 二月の贈り物』です。
……想像はつくかもしれませんが、あの日でございます。
ただ、サブタイトルにカタカナが存在しないので、回りくどい表現に……。