表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
288/297

その244 告白 4番目

そして、放課後。


「あ~今日も疲れた。帰ろうぜ、健太」

「いや、今日はちょっと……」

「……ああ、そういうことか。なら今日は一人で……」

「お前には倉木がいるだろ」


カバンを持って一人で勝手に帰ろうとした吉行に、大貴がそう指摘する。


「おっと!そうだったな……お~い美空!帰ろうぜ!!」

「あ、はい!」


慌てて美空が、吉行の近くによる。

そんな美空を見て、吉行は、



(ポン)



「ふぇ?」

「俺今気づいた……美空って元々可愛かったけどよ、更に可愛く見える俺がいることに!!」

「アホだ」

「アホだね」

「恋に溺れるってのはこういうことね」


一同は、口をそろえて吉行に向かっている。

しかし、当の本人である吉行は、聞こえていないのか、気にしない風だ。


「強くなったんだな……吉行」

「いや、それとこれとは違うでしょ」


大貴の呟きに、健太は突っ込みを入れていた。


「それじゃあ木村……頑張れよ」

「……うん」


大貴に言われて、健太は自分の胸を右手で叩く。



(ドン!)



「……よし」


小さくそう呟き、健太はとある人物の元へと歩きだす。

教室の中には、ほとんど生徒は残されていない。

部活に行った者。

家に帰った者。

その他諸々だ。


「……」


ゆっくり近づいて行く。

その人物は、そのことに気づいていない。


「……ちょっといいかな?」

「え?私?」


健太が呼びとめた相手。

それは……かなえだった。


「今から話があるんだけど……屋上に来てくれないかな?」

「う、うん……いいけど」


かなえは、少し驚いたような顔をして答えた。

健太は、この反応を見て、少し喜んだような顔を見せる。

しかし、これからが執念場だ。

ここからどういう展開に持っていくのか。

それは……健太自身にかかっている。


「それじゃあ……待ってるよ」

「うん」


今度は驚きの色を消して答えるかなえ。

そんなかなえの返事を確認すると、一足先に健太は教室を出る為に、



(ガラッ)



教室の扉を開く。

そして、廊下に出たその時だった。


「……今から、なのね」

「……美奈さん」


そこには、先に帰ったはずの美奈が、立っていた。


「ここまで来たなら、後は貴方次第よ。どう言う結末を迎えるのか……それはあなた次第よ」

「……うん」


顔を合わせない二人。

それが何を意味するのかは、互いに分かってはいなかった。

ただ、それだけで互いの言ってる言葉の意味が分かる。

無意識の内に、そう感じていた。


「さて私は、これで帰るわよ」

「……ありがとね、美奈さん」

「いいってことよ。それにお礼は、あなたの想いがかなえに届いてからにしなさい」

「……だね」



(タッタッ……)



そして健太は、廊下を歩いて行った。


「……」


その様子を見て、美奈は健太とは反対方向に歩きだした。

その表情は、いつもと同じ、無表情だった。
















次回、物語は大きく動き出す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ