番外編その20 それぞれの結末 2番目
「……」
美空は、迷っていた。
図書室で昼休みに聞いた、健太と夏美の会話を聞いたためだ。
最も、偶然聞いてしまったと言った方が正しいだろう。
「私、どうすれば……」
心配になってきたこと。
それは、自分の想っている人が、他の誰かを好きになっていたら、ということ。
美空の想い人―――それはつまり、吉行のことである。
きっかけは分からないが、いつの間にか美空は、吉行のことが気になっていた。
「そうだ。迷っている内には、自分に負けてるんだ……それなら、この不安を解消する為にも……」
美空は決心した。
この想いを、吉行に伝えると。
「まずは吉行君を探さないと……」
「俺がどうかしたか?」
「へ?キャア!」
後ろを振り向くと、そこには何一つ変わらぬ笑顔。
吉行が、いつの間にか美空の後ろに立っていた。
「いやぁ、帰ろうかなと思って教室を出たら、倉木がそこに立ってんだもんな。そして、俺のことを
何か言ってたみたいだから、気になって声をかけたわけだ」
「そうだったんですか……びっくりしてしまいました」
美空は、若干顔を赤くしながら、笑顔でそう答えた。
「(う……)」
「?」
吉行は、その笑顔を見て一瞬ドキッとしていた。
しかし、自分が何故目の前の少女に対してそのような感情を抱いたのか。
そのことに関しては、理解出来ていなかった。
「どうかしたんですか?」
「あ、いや、何でもない……(何だろう、いつもの俺じゃねえみたいだ)」
吉行は、心の中でそう呟いていた。
しばらく黙りこんでいる吉行を見て、
「(吉行君、いきなり黙りこんでしまって……どうしたんだろう?)」
美空は心配するような眼差しで、吉行のことを見る。
原因が自分にあることなど、勿論美空は知らない。
「それよりもよ、倉木」
「は、はい。何でしょうか?」
いきなり名前を呼ばれた美空は、少し驚いたような感じの声色で、吉行にそう尋ねる。
「お前の用事ってのを教えてくれよ」
「私の用事……ですか?」
何のことか一瞬分からなかった。
美空がそのことを理解する前に、
「ほら、お前さっき俺のことを探そうとしてただろ?」
「あ……はい。そうでしたね」
吉行にそう言われて、頭に今まで考えていたことが流れてくる。
美空が吉行のことを探そうと思った理由。
それは、自分の抱いている想いを、吉行に伝える為だ。
失敗なんて考えない。
万一失敗したとしたって、自分達の関係が変わるわけではない。
前向きに、美空は考えていた。
だとしても、こんな場所でそれを行うのは、雰囲気云々を語る前に、恥ずかしかった。
なので美空は、
「場所を変えませんか?」
「場所を?別にいいけど、どこにするんだ?」
吉行に尋ねられて、美空は、
「この階にある空き教室にしましょう」
「そこで、俺への用事を話してくれるのか?」
「……」
その問いに対して、美空は、
(コクッ)
無言で頷いた。
「なら、行こうぜ」
吉行と美空の二人は、空き教室へと向かった。