その23 夜の戦い 5番目
『夜の戦い』編終了です。
次からはハイキングに行ってきます。
あ、今回は新しい登場人物いないので、次回は普通に本編が続きます。
「え?」
「だから、愛ちゃんについてどう思ってるかって聞いてるんだよ」
「どうって言われても……」
健太は悩んでしまう。
健太にとっての愛は、大切な友達であって、それ以上でも、それ以下でもないからだ。
「……幼馴染、それも、凄く大切な友達かな」
「……本当に、友達までなのか?」
「え?」
「本当にそこまでなのかと聞いてるんだよ!!」
突然、直樹が叫びだした。
「うわっ!」
そのあまりの剣幕に、健太は思わず後ずさりをしてしまった。
「なぁ、正直に答えてくれよ……」
「いや、正直に答えた結果なんだけど」
「オレは、愛ちゃんのことが好きだ」
「いや、言わなくても十分理解してるから」
直樹の言葉に、ただ相槌を打つだけの健太だった。
「う〜んとね、私の、大切な人かな?」
愛はかなえの問いにそう答えた。
「……何か、あったのですか?」
かなえはまた愛に質問する。
愛も、かなえの質問にきちんと答える。
「……中学生の時までそんな気持ちを考えたこともなかった」
愛は、かなえに昔話をし始めた。
「中学生の時に、私、不良の人達に襲われそうになったの」
「!」
「街で歩いていてね、ちょっと急いでたから、人気のない路地に出て来たの。そしたら、誰か
にぶつかったの。その人達が不良だったの」
「・・・」
愛の話は、また続く。
かなえは、愛の言葉を一言も漏らさないように聞き取る。
「私がその不良達に襲われそうになった時、健太が助けにきてくれた。襲い掛かってく不良を なぎ倒して、私を救ってくれた。それからかな。私が健太に好意を持つようになったのは」
「……そんな事があったのですか」
かなえたちがそんな話をしていたその時だった。
(バン!)
突然、竹の柵が崩壊し、何者かが姿を現した。
「うわっ!」
その音に、当然健太達も気づく。
「な、何者だ!」
直樹が不審者を迎え入れるような口調でそう尋ねる。
その何者かはこう答えた。
「私?私はね、あんた達の担……」
「ヤン○ミじゃないでしょ」
健太にズバッときられる。
「私よ、美奈よ」
竹の柵の中から現れてきたのは、美奈だった。
ちゃんと服は着ていた。
「私、この人知らないんだけど……」
愛はまだ一度も美奈に会っていないので、知らなくて当然だった。
「ていうか、どうやってその柵の中に入ったの……」
健太はそう尋ねたが、
「まぁいいじゃないそんなの」
の一言で流された。
「では私はこれで失礼しようかしら。11時に私の部屋に来なさいよ」
「いや、消灯時間過ぎてるし……」
「大丈夫よ。大人の事情で12時に……」
「ならないから」
「まぁいいわ。せいぜいNow Lifeを楽しむがいいわ」
直訳すれば、今の生活である。
「おーほっほっほ〜!」
(ドロン)
どっかの悪役のような声をあげ、美奈はどこかへ消えた。
「……忍者?」
この後、健太たちはすぐに風呂を出たという。