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その19 夜の戦い 1番目

『夜の戦い』編スタートです。

なんだかいろいろと突っ込みどころのある話ですが、ご勘弁を。

そして10分後。


「ではこれから、相馬高校と里川高校合同のミーティングを行います」


外川司会のミーティングが始まった。生徒達は、体育座りの格好で外川の話を聞いている。


「えっとまずは、注意事項をいくつか話したいと思います。まず1つ目は、互いの高校の部屋

に入ることなのですが、本当なら極力やめて頂きたいのですが、こればかりはどうしようも

 ないので、自由に出入りすることを認めます。女子が男子の部屋に入ったり、男子が女子の

 部屋に入ったりすることは、夜の10時以降を除きまして、自由といたしましょう」

 

この言葉を聞いた瞬間、多くの男子生徒たちの心の中には、『よっしゃ〜』という声があったはず。


「……」


そんな中、どこか上の空で聞いているのは、健太である。

健太は、先ほど愛が言おうとしたその言葉について考えていた。

そんなことを考えているうちに、


「……本当に、何だったんだろう?」


という言葉が漏れてしまう。

その言葉に、


「ん?どうした健太?」


間髪なく吉行が尋ねてきたので、健太も間髪入れずに、


「何でもないよ」


と答えた。

そしてまた、思考に移る。

その間にも、外川の話は続く。


「2つ目は喧嘩をしないこと。当たり前のことなのだが、毎年喧嘩をすることがあってな。

 ちょっとしたことが理由で喧嘩に至り、残念ながらお亡くなりになられた生徒さんもいる

 から、みんなも気をつけるようにしてくれ」


一体、どれほど大きな喧嘩が起きたのだろう。

これのことに関しては、外川は言わなかった。


「そして3つ目は、これは男子への注意だが、女子にちょっかいを出さないこと。まぁ逆も

 存在するわけなのだが、例えば、女子風呂を男子が覗くとか言うような典型的なことはしな

 いように」

「先生こそしないでくださいよ」

「吉行、後でオレのところへ来い」


吉行は、どうやら外川の気を触れてしまったようだ。

外川は、険しい顔をして吉行にそう言った。


「ほ〜い」


こんなときでも、究極のKYである吉行は、そんな気の抜けた返事しか出来ないのだった。


「はぁ。これだから吉行は……」


健太は、今まで考えていたことを忘れて、いや、今まで考えていたことに終止符を打ち、

そう言った。


「まぁ考えるだけ無駄だね。今はこのことについては何も考えないことにしよう」


いずれ、その時が来るまでは、そのことに関して考える必要もないだろう。

そう考えたのだった。


「では、今後の予定について説明します」


と、これまた長い説明があったので、少し省略をして、重要な部分だけを言うと、この後は

風呂の時間なのだそうだ。

このオリエンテーション旅行の風呂は、両校関係なく入ることになっている。

恐らくは、時間を省略する為なのだろう。

この時間こそが、両校の壁を越えた厚き友情が生まれる時なのだが。


「では解散です。これから1時間を風呂の時間として、その時間内だったら、いつ入っても

 構いません」

「それは良かった」


美奈がそんなことを呟いた。

一体何を考えたのだろうか?


「じゃあ、風呂行くか健太」

「え?あ、う、うん」


健太は立ち上がり、その場から離れようとした。


「け、健太……君?」


かなえは、健太に向かって何かを話したかった様子だが、結局話しかけられなかった。


何故なら。


「健太〜!」

「うわっ!愛!!」


そう、愛が来たからだ。

ちなみに、今の驚きは健太。

そして、愛がいきなり、


「え?ちょ、ちょっと……!」


健太に抱きつこうとして、目の前にいる吉行に抱きついてしまった。


「おお早乙女!そんなにオレのことが……」

「そんなわけないでしょ!!」



(ビッタ〜ン!!)



もの凄いビンタ音が、部屋の中に響き渡る。

その音に、部屋に戻ろうとした生徒がびっくりして、こちらを振り向いてきた。


「ていうか、早く先生のところへ行きなよ」

「おおそうだったな。じゃあ風呂に行くのは少し待っててくんねぇか?」

「うん、別にいいけど……」

「よっしゃ!じゃあ待っとけ!!5分で帰ってくるからな!!」



(ダダダダダダ)



吉行は走って消えた。


「やっと2人きりになったね」

「いや、なに雰囲気を作ってるの?それに……って、うわっ!」


今度こそ、愛は健太に抱きついた。


「よいではないかよいではないか〜♪」


愛は妙にご機嫌だった。

言葉が妙に危ないが。


「いや、僕は別に構わないんだけど……この人達が許さないかと……」


健太と愛を取り囲むようにして、里川高校1年生による、『愛ちゃん愛好会』のみなさんが

並んでいる。


「おい、どこの誰だか知らないが……愛ちゃんに手を出すなー!!」

「うわぁ〜!何で〜!!」



(ダダダダダダダダダ)



健太は、愛ちゃん愛好会のみなさんに追われた。

ちなみに、愛好会メンバーは、50人くらいいるので、相当な人数となる。


「てめぇ!待ちやがれ!!」

「待てって言われて待つ人なんかいないよー!!」


怒りの声が聞こえてくる。

そんな中直樹は、愛に寄り添って、


「愛ちゃんは、僕が守るから」


と、自分の中で一番カッコイイ顔をして愛にそう言った。

だが、


「も〜う、直樹君の、馬鹿ー!!」



(バッシ〜ン!)



吉行のものよりも強烈なビンタ炸裂した。


「ぐはっ!」


そして直樹は、そのままぶっ倒れた。

そんな直樹を見ようともせずに、愛は健太達を追いかけていった。


「健太君、大丈夫かな……?」


かなえは、そんな人達が立ち去った後、静かに立ち去っていった。
















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