その202 始業式 2番目
そして放課後。
健太は、音羽に言われたとおりに、生徒会室に来ていた。
健太が生徒会室に足を運ぶのは、割と久しぶりなことである。
「久し振りだな……この部屋に足を運ぶのも」
健太は扉の前で呟く。
やがて意を決すると、扉を、開けた。
(ガチャッ)
「……来たか」
メガネを押さえながら、健太を見る青年が一人。
この青年は、吉田明久。
明久もまた、健太と音羽同様に生徒会の一員である。
「割と早かったわね」
少し笑顔の入ったような顔で健太に行ってくるのは、瑞穂だ。
久し振りに顔を合わすことが出来たの多少嬉しいようだ。
「久し振りだね〜健太君〜♪」
「お久しぶりです、歩美さん」
最後に歩美が話しかけて来た。
生徒会は、健太を含めたこの6人で活動しているのである。
「さて。今日集まってもらったのは、三学期の予算の打ちあわせ、それと、会長の引き継ぎに
ついてだ」「「会長の受け継ぎ?」」
一年生である健太と音羽は、分からないと言ったような顔をして、尋ねる。
「この学校は、高校三年生が生徒会長をすることになってるだろ?けど、その生徒会長と
言うのが、三学期を迎えて卒業をすると同時に任期を終える。だから、来年度からの
生徒会長を、今のうちに決めておかなければならない、と言うことだ」
明久の説明を聞き、理解したかのように頷く健太と音羽。
それを確認すると、
「会長、次期会長には、真鍋が適任だと思うのだが、どうだろう?」
「え?私?」
まさか自分が指名されるとは思っていなかったらしく、瑞穂は驚きを見せる。
「瑞穂なら〜副会長としての経験もあるし〜私も適任だと思うな〜」
歩美が、相変わらずの間延びしたような話し方で、瑞穂を指名する。
「私も、真鍋先輩になら任せられると思います」
「僕も、真鍋先輩はきちんとした人だと思うので、大丈夫だと思います」
これで、瑞穂を除く、生徒会役員全員が、瑞穂を次期生徒会長に推薦した。
「全員からの推薦だが、引き受けてもらえるか?」
最後に充から、そう言われる。
ここまで期待されていると、瑞穂本人もなんとなく嬉しく思ったみたいで、笑顔が隠しきれていなかった。
「ま、まぁみんながそう言うなら、引き受けてあげないこともないですけど……」
顔を少し赤くして、瑞穂は言ったら、
「素直じゃないけど……よく言ってくれた!さすがは瑞穂だ!!」
「うるさいですよ!会長!!」
うっとおしそうに、瑞穂は言い放った。
「何だよ……そんな言い方することはないじゃないか」
「会長のそれにはもう慣れました」
すっかり受け流す瑞穂。
更に落ち込む充。
「アハハ……」
「……俺達だけで、予算については話し合うか」
落ち込んでいる充を置いて、明久の提案により、健太達は予算のことについて話し始めた。