その201 始業式 1番目
三学期。
ついに、私立相馬学園も三学期を迎えた。
本日は三学期の始業式ということで、年を越して以降、久しぶりに会う相手もいるということだ。
「久し振りだね!健太君!!」
「うん!久し振りだね、マコ」
マコもまた、その一人であった。
正月からしばらくの間、歌手としての仕事が入っていて、なかなか健太達に会う時間がなかった為である。
「夕夏さんもね」
「私はついでなのかしら……」
夕夏が、少々ムッとしたような表情で、健太を睨む。
「い、いや、そういうわけじゃなくて……」
オドオドと誤解を解こうとする健太。
「いやいや、青春ですな〜」
「……何なんだ、お前は」
「何なんだお前は、と聞かれたら……答えてあげるが世の情け」
「答えんでええ。それに、それは二人でやるやつだろ?何でお前一人でRのつく団のセリフ
言ってるんだよ」
大貴の、やたら長い突っ込みが美奈に入る。
それを、美奈はなかったことかのようにスルーした。
「おはよう、みんな」
少々遅れて入って来たのは、ミサだ。
「おはよう。今日は遅かったね」
「ちょっとね。休みの時のくせがついたのか、寝坊しちゃって……」
「あ〜その気持ち分かるわ。俺も後少しで遅刻しそうになったから」
「確か、杏子ちゃんに起こしてもらったんだっけ?」
健太がそう確認をとると、吉行は笑顔で頷く。
「ああ!少し真剣な顔になって、俺の体を揺らして起こしてくれる杏子……ああ、我が妹
ながら、その光景は本当に至福の光景であるのなんの……って、冗談だから、ひくな」
心なしか、吉行から距離を取る健太達。
「いや、だって吉行君……まさか……」
「シスコンでロリコンで、一緒にいるだけでに……」
「言わせねぇよ!何回目だよそのネタ!!大体、俺はシスコンでもねぇしロリコンでもねぇ!
可愛い女の子なら誰でもいいってだけだ!!」
「それもどうかと思うよ、吉行……」
ここまでのセリフの流れを説明すると。
まず、かなえが呟きかけた言葉を、美奈が広い、更に拡大させる。
その次に吉行が突っ込みを入れて、最後に健太があきれながら呟いた。
「ごほん!と、とにかく、俺は俺が認めた女しか愛さねぇし、認めた奴としか話さねぇ。
このクラスで言えば、そうだな……とりあえず俺の周りにいる奴はそうだな」
「まぁ、今のセリフは流して、と……」
「流すな!今いいセリフ言ったよね、俺!?」
ミサに流されたことに、憤慨を覚える吉行。
その時。
(ガラッ)
扉が開けられる。
そこから入って来たのは。
「健太君!」
「あれ?音羽さん?どうしたの?」
隣のクラスの、音羽だった。
その顔は、何やら明るい笑顔であった。
「久し振りだね!」
「そうだね。あの旅行以来会ってなかったから、20日ぶりくらいかな?」
「そうかもね……あっ!健太君、今日の放課後、生徒会室に集合だって」
「そう?ありがとう、伝えてくれて」
健太は生徒会のメンバーの一人だ。
それに、音羽も生徒会のメンバーである。
「それじゃあ、また放課後ね!」
「うん」
それだけを伝えると、音羽は自分の教室へと戻って行った。