その200 年越し
三学期の始まりです。
12月31日。
この日は、一年の終わりを告げる日でもある。
現在時刻、11時49分。
後ももう少しで、この年も終わりを迎えることとなる。
そんな時に、健太達は神社に来ていた。
メンバーは、健太を含めた、かなえ・吉行・美奈・杏子・美咲の六人。
他の人達は、住んでいる所の関係等があり、今日は来ていない。
「しかし、今年ももう終わりなのか」
吉行が呟くと、一同も頷く。
「今年はいろんなことがあったよね。何というか、波乱の一年だった……」
「そして、出会いの一年でもあったわね」
美奈が言う。
「そうだね。こうしてみんなと出会えたのも、そのみんなと一緒にどこかに出かけたりする
ことが出来たのも、全部この一年間での出来事だもんね」
「そうですね……本当に、みなさんと出会えて、今年の一年間は退屈しませんでした」
杏子が、今日に至るまでの日々を思い浮かべながら、言った。
他の五人も、少しの間感傷に浸っていた。
だが、しばらくして、
「思い出を語るにはまだ早いってな!どうせまだ後2年は付き合う仲だ。そういうのは卒業
してからとかにしようぜ!」
「あら。吉行のくせにいいこと言うわね」
「俺だってたまにはこういうこと言うの!」
美奈にそう言われて、吉行は半ばムキッとした感じで言葉を返す。
「アハハ……あ、後5分くらいで12時になるよ」
笑っていた一同だったが。
ふと、美咲が時計を見て、現在時刻を確認した。
午後11時55分。
後5分で一年が終わる。
「来年はどんなことがあるんだろうね」
「そうだね……」
かなえの呟きに、一同は少し考える。
だが。
「そんなのどうでもいいじゃない。きっと来年も楽しいんだから」
美奈の言うとおりだと、一同は考えた。
これからどんなことが起こるのかは分からないが。
きっと楽しい一年間になるだろうことは予想することが出来た。
「そうですね。きっと、来年も楽しい一年になりますよ」
「杏子が言うと、自信が湧いてくるな」
「何の自信なの、お兄ちゃん……」
呆れたような感じで、杏子が突っ込みを入れた。
辺りが騒がしくなってくる。
1年の終わりの時間がもうすぐそばまで来ているからだ。
「後2分ね……みんな、そろそろ準備するわよ」
「何の?」
分からないと言ったような感じで、健太が尋ねる。
「カウントダウンよ!」
「な、なるほど……」
納得したかのように、健太が呟いた。
「ほら、後1分よ。30秒になったら、カウントに入るわよ」
「はいはい……」
相変わらずだな、と吉行は思った。
「それじゃあいくわよ……30!29!28!27!……」
長いようで短い。
それが、『1年』というものの特徴である。
「24!23!22!21!20!……」
楽しかった1年が過ぎれば、また新たに、楽しくなるだろう1年が始まる。
そうなることを信じているからこそ、人は前に進むことが出来るのだ。
「……14!13!12!11!10!……」
カウントも、ついに10を切った。
「9!8!7!6!5!……」
来年はどんな1年になるのだろうか。
期待の念が、その場にいる人の頭の中で生まれる。
「4!3!2!1!」
そして、遂に……。
「ハッピーニューイヤー!!」
午前0時00分。
遂に新たなる1年が始まった。