その194 旅先でのクリスマス 6番目
ここで、分かれた二グループのメンバーを紹介しよう。
仮にAグループ、Bグループに分かれたとして。
Aグループは、健太を筆頭に、和秀・美咲・かなえ・真緒・マコ・智也・夏美・音羽の九人。
Bグループは、和樹を筆頭に、吉行・杏子・大貴・美夢・美空・ミサ・真弓・美奈の九人。
「結構バランスよく分かれたんじゃねぇの?」
メンバー編成を見て、大貴が呟く。
「私、Aグループがよかったです……」
「何、気にすることはない」
「お前、何様だよ」
若干落ち込む真弓を見て、吉行が語りかける。
そんな場面を見ての、大貴の突っ込みだった。
「お、俺は結構満足かも……」
「あ〜(二ノ宮さんが同じチームにいるからね)」
智也が納得する理由を、健太はいち早く理解することが出来た。
と言うより、嫌でも出来てしまうのである。
「健太!」
「和秀。同じチームになったね」
「ああ……遊園地の時ではライバルだったが、今回はお互い仲間同士だ。奴らとぶっ飛ばして
言うこと聞かせようぜ!」
「お前が言うと、なんだか卑猥に聞こえるわ」
「何故!?」
美奈にそう指摘されて、和秀は言う。
その様子を、吉行は笑いながら眺める。
「……何で笑ってんだ、お前」
「だってよ、俺がいつも受けてることを、他人が受けてるんだぜ?」
「あ〜ドンマイ」
いじられている和秀を見て、吉行は笑顔を見せる。
しかしその笑顔は、どこか悲しく映っていた。
「それじゃあ、そろそろ始めようか?」
「そうね。もう一度ルールを確認するわ」
ここで、もう一度雪合戦のルールについて説明しよう。
メンバーは、各グループ九人ずつであり、弾は、そこら辺に積もっている雪を使用すること。
危ないので、雪玉の中に石を入れるのは禁止。
三回当てられた場合、その者は敗北とする。
そして、勝ったグループは、負けたグループに一つだけ命令することが出来る。
ただし、一人一つまでのことであり、その命令は誰に対する物でも、はたまた負けたグループのメンバー全員にでも構わない。
「ただ、あまりに過度な罰ゲームは、相手の反感を買う恐れがあるから、注意することね」
ミサがそう忠告する。
何故か吉行と和秀を見て。
「……って、俺かよ!?」
「何で俺まで入ってるんだよ!」
「だって、何か雰囲気似てるし」
ミサの言う通り、吉行と和秀はどこか雰囲気が似ていた。
「まあ、吉行だって常識はあるんだから、大丈夫……だよね?」
「そこは自信を持って大丈夫って言ってくれよ……」
同様のやり取りが、和樹と和秀の間でも行われていたのは、言うまでもないだろう。
「話はそれくらいにしなさい。それじゃあ始めるわよ!」
美奈が、半ば強引に始めた。