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その186 十二月 2番目

「で?誰のうちでやるんだ?」

「僕の家は……ていうかアパートの部屋は、こんな人数は入れないし」

「俺ん家は駄目だな」


まず、健太と大貴の家が駄目となった。


「何で大貴の家も駄目なんだ?」

「……いろいろあんだよ。家庭の事情が」

「まさかお前……家が段ボールハウスとか?」

「んなわけあるか!どこのホームレス高校生だよ!!」


珍しく大貴が声を荒げて突っ込みを入れる。

それだけ、その称号をつけられるのが嫌だったのだろう。


「んじゃ、雛森の家は……行くとスキャンダルになりそうだから却下だな」

「スキャンダル!?」


そんなことはないと否定するように、マコは言った。

しかし、これでマコも駄目となった。


「続きまして中川の家だが……」

「私の家に入るなら、入場料1万……」

「却下」


金の話が出た時点で、吉行は却下した。


「さて続きまして……倉木の家は?」

「わ、私ですか?……残念ながら私の家も駄目ですね……」

「そうか……ちょっと残念だな」


少々残念そうな顔をする吉行を見て、美空は申し訳ないような表情を見せる。

それを見て大貴が、


「気にするな。こいつの顔の変化を一々気にしてると、面倒臭いからな」


と、美空に告げた。


「は、はぁ……」


分かったような分からないような表情で、美空は答えた。


「どこの家も駄目でしたら、私の家を使ってもいいよ」

「本当か?相沢」


意外な所からの助太刀に、吉行は素直に喜んだ。


「本当にいいの?かなえさん」

「うん。大丈夫だよ」

「なら、お願いしようかな」


こうして、本日の勉強会の会場は、かなえの家となった。















「と言うわけで、相沢さんの家に私達は来たわけだけど」

「何か全然進んでいない人がいるんですけど」

「う、うるさい!」


あれから何時間が経過しただろうか。

放課後になると共に、健太達は至急家に帰り、着替え等の準備を整えて、かなえの家まで向かった。

最終的なメンバーは、健太・かなえ・吉行・大貴・美奈・ミサ・美空・夏美・智也・音羽・マコの合計十一名となった。

ついでに、何故かきちんと杏子と美咲の二人も着いてきていた。


「杏子……そんなに俺のことを」

「まあ、心配するだけ無駄だけどな」

「酷い!?」


さりげなく酷くなっていく自らの境遇に、吉行は半ば泣きそうになっていた。


「とまぁ、冗談はここまでにしておいて、そろそろ本気で取りかかろうか、吉行」

「あの……今も充分力出してるのですが」


ミサにそう言われた所で、そう返すしかなかった吉行。


「え?海田君ってこれが限界なの?定積分の計算だよね、これ」


追い討ちをかけるような、音羽からのキツい言葉。

これには、流石の吉行もノックアウトのようだ。


「な、情けないよ……お兄ちゃん」


杏子は、倒れている吉行を見ながら、呟いた。


「ところで、そろそろ腹が空かないか?」


ここで、智也からこんな言葉が飛んできた。


「言われてみれば……そうだな」


大貴も頷いた。


「それじゃあ、私、何か作ってくるよ」



(スクッ)



かなえが立ち上がり、そう言った。


「わ、私も手伝います」

「私も」


美空と夏美の二人もかなえについていくことにした。


「それじゃあ私も……」

「杏子は駄目。ここにいて俺をいや……」

「死ね、シスコン」

「イジメ、格好悪いよ!!」


即座に反応してきたミサに対して、吉行はそう突っ込んだ。
















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