その184 社会科見学 5番目
「ふぃ〜食った食った」
昼食を食べ終えた健太達は、改めて中を見て回ることとなった。
だが、それももう終わりの時間に近づき、そろそろ健太達も帰りの支度……もとい、おみやげ
を買う段階に来ていた。
「さて、どんなおみやげを買ったらいいのかしら……こういう所は、初めてですので」
「まぁ、初めてじゃなくても、おみやげってのは迷う物だけどな」
夕夏の呟きに答えるように、大貴が言った。
「そうだよね〜。何を買っていこうか迷うのが、おみやげだよね〜」
「私も同感だわ」
更には、マコ・ミサの二人も同意を示した。
「これ何かどうかな?うまい警棒なんてお菓子が売ってるけど」
「それ、うまい棒のパクリじゃね?」
吉行が取りだしたのは、コーンポタージュ味のうまい警棒というお菓子だ。
その名前と形状から分かるように、これはうまい棒のパロディである。
「買ってみようかな……これ」
「買うのは勝手だが、後悔だけはするなよな?」
「けど、うまそうじゃね?これ」
「買ったことないから何とも言えないけど……まぁ、試しに買ってみるのはありなんじゃない?」
買おうとしている吉行に、健太はそう言う。
「だろ?というわけで、これは俺がもらった!!」
(バッ)
それを手に取り、急いでレジに向かう吉行。
「あれだけでいいのかな?」
「まぁ……いいんじゃないか?ほっとけば」
大貴は、冷静にそう判断した。
健太も、そんな吉行の様子を見守ることにした。
「これなんてどうかな?可愛いよね〜」
そう言ってマコが見せたのは、バレーボールのマスコットでおなじみのあのキャラである。
バレーボールから手足が出ているような形をしている、あのキャラである。
「うん、可愛いよね〜」
マコの意見に、かなえも同意する。
美空も、興味ありげに覗いてきた。
「女って、ああいうマスコット的なキャラクターに弱いよな」
「そうだね……大貴。ああいうのを二ノ宮さんにプレゼントしたら?」
「なっ!?」
突然の健太の提案に、大貴は驚いてしまう。
「ど、どういうことだ!?」
「つまり、プレゼントして好感度をアップさせようってことだろ?」
いつの間にか戻って来ていた吉行が、そう言った。
「よ、喜んでくれるのか……?」
「多分な。てか、プレゼント貰って嬉しくないやつはいない」
「内容によるけどね」
小声で健太が補足した。
「よっしゃ!買え、買うんだ、大貴!!」
「やかましいわ!!」
(ボカッ!)
「痛っ!!」
大貴に思い切り頭を殴られた吉行。
「だ、大丈夫ですか!?」
それに気づいたのか、吉行の元に美空が駆けつけて来た。
「あ、ああ……大丈夫だ」
「本当に大丈夫ですか?」
心配そうに尋ねる美空。
「あ、ああ……」
若干のためらいはあったものの、吉行は大丈夫だと言う事をアピールした。
「そうですか……よかった」
ほっした表情で、美空は言った。
その一部始終を見て、
「へぇ……吉行にも春が来たんだな」
「は?何言ってんだ?お前」
大貴は、吉行にも春が来たと言う事を悟った。
「まぁ、何がともあれ、これでおみやげは済んだし、そろそろ集合場所に戻ろうよ」
「そうね」
健太の提案により、一同は集合場所に戻ることになった。
こうして社会科見学は終わり、いよいよ十二月を迎えることとなった。
最後の方は本当に無理矢理終わらした気もしますけど……。
とりあえず、次回からは「十二月」編の始まりです。
大分前にサブタイで「五月」というサブタイがありましたが、なんだか似てるなぁ……。