その182 社会科見学 3番目
今回は割と短めで行きます。
何しろ、もう学校に行かなきゃいけない時間なもので……。
「外もそうだったけど、中も広いね〜」
「だね」
中に入ると、意外と広いことに気づく一同。
「ほぉ……収録している様子とかも見れるんだな」
「みたいだね」
中からは、上から見下ろすという形だが、番組の収録風景を覗くことが出来るらしい。
ただし、基本的に時間が合わない為、ほとんどが黒いカーテンが閉まってて見えないのだが。
「過酷な現実を目の当たりにして、少しショックを受けております」
「何言ってるの?あなたは」
落ち込んでいる様子の吉行を見て、夕夏が言った。
「ま、テレビ局の中に無料で入れるんだから、それだけでも得だと思え」
「さすがに社員の部屋に入るのは無理だよね〜」
「いや、出来るわよ」
「え!?」
突然の美奈の発言に、マコは驚きを見せた。
「ボクが普段来てる時でも入れてくれないって言うのに、どうやって入るの?」
「無論、気配を消して侵入して……」
「不法侵入だから、それ」
健太はそう突っ込んでいた。
「それはさておき、これから何を見る?」
「そうだね……とりあえず、中をいろいろ回って、それからお昼にしようよ」
「そうですね……あ、へぇ〜ボタンがありますよ?」
「え?」
健太の意見に同意していた所で、美空は何かを見つけた。
それは、某いらない知識を紹介していた番組で使用されていた、へぇ〜ボタンなるものだった。
「見学コース上にこんな物が置いてあるんだね……」
「押してみてもいいのかな?へぇ〜って鳴るのかな?」
ちょっと興奮した様子で、吉行が言う。
「勝手にすれば?」
と、微妙に冷めた反応を見せるミサ。
「じゃあ勝手にするぜ!」
吉行は、へぇ〜ボタンだと思われるボタンに手を伸ばす。
そして。
(ポチッ)
ボタンを押した。
「……」
「……あれ?」
しかし。
いくら待っても、へぇ〜とは鳴らない。
と言うより、反応すら示していなかった。
「どういうことだ?……健太、押してみてくれ」
「うん」
吉行に言われて、健太はボタンを押す。
(ポチッ)
しかし、返事がない。
ただのボタンのようだ。
「それじゃあ……相沢。やってみて」
「あ、うん」
かなえも、健太と吉行同様にボタンを押す。
(ポチッ)
すると。
『ああ……もっとぉ〜♪』
「「「「「「「「「……」」」」」」」」」
何やら不気味な音が聞こえたような気がした。
もう一度かなえは、ボタンを押してみる。
『いい……いいよぉ〜♪』
「……次、行ってみよ〜」
不気味になったのか。
健太達はその場から離れることにした。
『あれ?もっと押してよ。もっと押して、気持よく……』
「いい加減にしろ」
大貴に一喝されて、ボタンは黙りこんだ。