表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
213/297

その179 記憶喪失 14番目

数分後。

駆け付けた警察によって、不良達は確保された。

傷だらけとなっている健太は、一旦病院に行くこととなる。

だが、怪我の方は、あれだけバッドで殴られておきながらも、大したことはないらしい。

軽い手当を済ませて、健太はすぐに病院から出ることが出来るらしい。


「良かった……健太君……本当によかった……」

「そんな……泣かなくてもいいって、かなえさん」


病院ロビーにて、健太とかなえ、吉行達は話をしていた。


「それより健太。記憶が戻ったって本当か!?」

「うん……不良達に頭を殴られた時に、記憶が戻ってたみたい」

「結局、ショック療法じゃねぇかよ」


健太の記憶の取り戻し方について、そう突っ込む他なかった。

ともかく、健太は自分の記憶を取り戻したのだ。

これで、明日からは普通に生活することが出来るだろう。


「……その前に、ちょっと寄って行きたい所があるんだけど、いいかな?」

「寄って行きたい所ってどこだ?」


健太がそう言うと、大貴が場所を尋ねて来た。


「病院の屋上」

「屋上に?そんな所に何の用事があるの?」


かなえがそのことについて尋ねてくる。


「うん、ちょっとね……空を見てきたいんだ」

「空をか……まぁ、いいんじゃないか?後は帰るだけなんだし」


智也からその許可が下りたことで、健太は屋上へと向かった。















「やっぱりいた……お〜い、静香さん!」

「あら?……健太君?ってどうしたんですかその傷は!?」


屋上に行ってみると、やはり静香は屋上で空を見ていた。

まさか健太に会えるとは……しかも、傷だらけの健太に会えるとは思ってもいなかったので、

静香は大層驚いていた。


「いやあ、いろいろあってね……」


まさか理由を話すわけにもいかないので、健太はそう言ってはぐらかすことにした。


「それで、今日はどうしたんですか?」

「いや、病院に来た帰りに、ちょっとって思って……それと、伝えたいことがあったから」


真剣なまなざしで、静香を見る。

静香は、そんな健太の顔を見て若干顔を赤くしてしまう。


「あれ?どうしたの静香さん?顔が赤いけど……」

「な、なんでもないです!」

「熱でもあるのかな……どれどれ」



(ピトッ)



「ひゃっ!」


いきなりおでこを合わせられて、静香は驚く。

だがそれ以上に、健太の顔が間近まで迫っていることに、羞恥心を隠せずにはいられなかった。


「だ、大丈夫ですから。熱なんてありませんから!」

「そ、そう?」


健太は、そう静香に言う。

やがて落ち着いた様子の静香を確認した後、健太は言った。


「僕、記憶が戻ったよ」

「え?それ本当に?」

「うん……なんだかいつの間にか戻ってた」


健太は、そのことを伝えに、屋上まで来たのだ。

わざわざ、その真実だけを伝えに。


「だから、静香さんも早く元気になってね。待ってるから」

「……うん」


静香は、寂しげにそう頷いた。















そして、健太の記憶が戻ったところで、新たなる日常が始まった。
















次回は登場人物紹介です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ