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その178 記憶喪失 13番目

「くっ!」


健太は、なんとかその攻撃を避けようとする。

しかし、どこに避けたらいいのか分からなかった。


「ぐはっ!」



(ゴウン!)



鈍い音がして、健太の体に衝突した。

つまり、相手の金属バットを、健太は受け入れたことになる。


「健太君!?」


思わずかなえは叫んでしまう。


「あら?どうしたんですかぁ?木村健太君。前までの強さは一体どこへ消えたんですかぁ?」


嫌みたらしく不良の少年は言う。


「止めてください!健太君は……健太君は今、記憶喪失なんですよ!?」

「ああん?記憶喪失だぁ?」


不良達は、にわかに信じられないと言った顔をする。


「そんなこと、こんな身近に起こるわけねぇだろ、ばぁ〜か!」

「かなえさんを……馬鹿呼ばわりするな……馬鹿野郎共」

「は?」


フラフラの状態で、健太は立ち上がる。

そして、不良達に言った。


「お前達のような、女の子一人を攫って、イスに縛りあげるような奴らのことを……社会に

 適応することの出来ないような奴らを、馬鹿って言うんだよ!!それぐらい覚えとけ!!」

「なっ……この野郎!!」


健太の言葉に怒り狂った不良達は、更にバッドで追い討ちをかける。

避けることも出来ず、健太はその攻撃を受け続ける。


「がはっ!」

「ほらほら、さっきまでの威勢はどこへ消えやがった!!ええ!?」

「やめて……」


消え入るような声で、かなえは呟く。


「やめてよ!それ以上健太君を傷つけないで!!」


ついに耐えきれなくなったのか。

かなえは不良達に向かって叫んだ。


「……なら、お前が相手になってくれるか?」

「え……ええ、いいわよ」

「駄目だ……駄目だ、かなえさん」


誰にも聞こえないような声で、健太は言う。


「おいお前ら!こうして本人からの許可が下りたんだ!存分に楽しむぞ、ごら!!」

「「「「「ひゅ〜!!」」」」」


楽しそうに騒ぎ出す不良達。

その姿を見て、健太は不快感を隠せずにいた。


「……どこまで馬鹿な連中なんだ、お前ら」

「ああ?もう何も出来ないような奴が、無駄口叩いてくれるじゃねぇか」

「駄目……お願い。もう立たないで、健太君……」


体中に傷をつけておきながら、健太はまだ立ち上がる。


「かなえさんに……その汚い手で触れるな」

「何だと……!!」



(ゴン!)



健太はまたしてもバッドで殴られる。

一瞬倒れそうになるが、力を入れて、なんとか踏ん張る。


「かなえさんは……僕にとって大切な人だ。その汚い手で触るんじゃない!!」


健太は、かなえと過ごした日々のことを覚えてはいないけれど。

心の中では、きっちり覚えているのかもしれない。

目の前にいる少女が、自分にとって、とても大切な人であるということを。


「だらしないなぁ……大切な人なら、きちんとお守りしなくちゃな!!」



(ゴン!!)



「ぐっ……」


とうとう健太は倒れた。

さすがに、今の一発はきつかったのだろう。


「さぁて、邪魔者が消え去ったことだし、お楽しみといきますか!!」

「そうだな!ここからが、お楽しみの時間だな!!」



(バン!!)



突如、何者かの叫び声が聞こえてきて、倉庫の扉が開かれる。

そして、何人かの人が入って来た。


「な、何だぁ!?」

「こんにちは。俺達、健太と相沢の友達です」


数にして、四人。

吉行・大貴・美奈・智也の四人だった。


「み、みんな……」

「ほぉ……これまた珍しい客が来たもんだ……お前ら!やっちまえ!!」

「「「「「おおう!!」」」」」


一斉に四人に向かって飛びかかって来る。

吉行達は、それぞれバラバラに散ることで、それをやり過ごす。


「さっきはよくも殴ってくれたな。これはそのお返しだ!!」



(ゴスッ)



「ぐはっ」


不良の一人に蹴りを喰らわす。

溝に入ったのか、その場に蹲ってしまった。


「上等……!!」

「遅いな」

「なっ!?」


相手よりも早い動きで、大貴は後ろに回り込み、手刀を入れる。

首に入った為に、相手は気絶した。


「テメェら……よくも!!」

「まぁそう焦んなって……攻撃は逃げないんだからよ!!」


智也から繰り出される、重い攻撃。

それを喰らった不良は、少し後ろの方に飛んで、壁に激突。

そのまま気絶してしまった。


「……大丈夫だった?かなえ」

「え?」


いつの間にかかなえを縛っていた縄を解いている美奈。


「な……何だと……」


目の前で繰り広げられている快進撃に、リーダーの少年は呆然とする。


「僕は……僕は……!!」

「ひっ!」

「僕はかなえさんを……大切な人達を守るんだぁあああああああああああああああああ!!」



(バキッ!!)



最後に、健太はそう叫びながら、リーダーの少年を殴った。















この時、健太の頭の中では、確かになくなっていたはずの記憶が、再生されていた。
















無理矢理記憶を思い出させました。

そうでもしないと、延々とこの話続いちゃうから……。

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