表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
211/297

その177 記憶喪失 12番目

「健太、大変だ!」

「ん?どうしたの吉行?そんなに慌てて……」


校門まで来てみると、慌てている様子の吉行がそこにいた。

その手には、何かが握られている。


「……ってどうしたの、その傷!?」


吉行の体を見ると、いつつけられたのか分からない傷がついていた。


「済まない……俺の力が足りなかったばかりに……」

「……何があったの?吉行」


健太は、真剣な顔つきとなり、吉行にその理由を尋ねる。

すると、吉行は途切れ途切れに行った。


「俺と相沢で……健太が返って来るのを……待ってたんだ……そしたら……不良の何人かが

 押し寄せてきて……木村健太にこの手紙を渡せと……言われたんだ。それで、俺が『お前ら

 健太の何なんだ?』とうっかり尋ねちまって……健太の友人だと分かった瞬間……奴らは

 俺の隣にいた相沢をさらおうとしたから……俺が抵抗したら……このざまだ」

「何……だって……」


吉行よりその真実が伝えられると、健太はそれしか言葉を出すことが出来なかった。


「そんな……」

「それで、これを……」


吉行は、健太に手紙を渡す。

その手紙には、以下の内容が書かれてあった。


『木村健太。

 テメェの彼女を返して欲しければ、街外れの倉庫に来い。

 借りは返させてもらおう』


「街外れの倉庫ってどこ?」

「ああ……確か……」


道が分からない健太に、吉行は道を教える。

そして。


「ありがとう吉行……行ってくる!」

「あ、待て!」

「!?」


走り去ろうとした健太を、吉行が止める。


「……どうしたの?」

「お前、記憶がない状態で戦えるのか?」

「……分からない。けど、行かないと、絶対に後悔すると思うから」

「……なら、行け」


吉行のその言葉を受けて、健太は急いで倉庫へと走り去って行った。


「……頼んだぞ、健太」


誰もいなくなった校門近くで、吉行はそう呟き、ゆっくりと倒れていった。















「ここか!!」



(バン!)



倉庫の扉を開け、健太は中に入る。

中は暗くて、前が見えそうになかった。


「……」


やがて眼が慣れて来た為か、視界が徐々に明らかになって行く。

健太は、奥へと歩く。

そして。


「!!かなえさん!!」


イスに縛られているかなえの姿を見つけた。


「けん、たくん……?」

「かなえさん、今助けるよ!!」

「させると思うか?」

「!!」



(ガン!)



健太のすぐ隣で、何かが激突するような音が響く。

その何かとは、金属バットだった。


「……暗い中だと、俺達まで見えないってのが欠点だな」


一人の男が、そう呟く。


「あなた達が……かなえさんを……」

「そうだ。前にお前から受けた屈辱を晴らす為にな」

「前に……僕はあなた達に会うのは初めてだと思うのですが……」

「忘れたか?五月の橋での出来事を」

「橋……!!」


健太の数少ない記憶の中にある、五月の橋での出来事。

確かに、健太はこの男達と出会っていたのである。


「さぁて、お前ら。そろそろ出てきていいぞ」

「!?」


男の掛け声とともに、物陰から人がゾロゾロゾロゾロと出てくる。

軽く10人はいたような気がした。


「……駄目だ。勝てるはずがない」


健太はそう呟いていた。

記憶がある状態の健太なら、この状態を乗り越えられるだろうか?

……いや、無理かもしれない。

記憶がある、記憶がない以前に、数が多すぎた。

少なくとも、後二人は欲しい所だろう。


「……さて、覚悟しろ。木村健太!!」


そして男達は、手に持つ武器を握りしめ、健太一人に襲いかかって来た。
















やべぇ……。

急展開もいい所だな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ