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その17 オリエンテーション旅行 5番目

5番目です。

この章からの登場人物が結構多くて、自分でも驚いてます。


一方そのころ愛と健太は、宿内を歩いていた。


「結構広いんだね〜この宿」

「気をつけようね。迷子にならないように」

「もうなったけどね」


健太のその言葉に、愛は思わず笑ってしまう。


「こうやって並ぶのって、久しぶりだよね」

「そうだね。中学校以来だもんね」


昔を懐かしむように喋る2人。


「でもまだ1ヶ月しか経ってないんだよね」

「ははは。まぁいいじゃない」


健太は笑ってそう言った。

その後、しばしの沈黙が続く。

そして、耐え切れなくなったのか、健太が、


「他の人達、元気かな?」


と話題を振った。


「そうだね〜。例えば、和樹君とか?」

「和樹か〜元気かな〜?」


その話題も、健太自身によって打ち切られた。

また沈黙が続く。

そして、今度は愛が、予想外の言葉を口にして、沈黙をぶち壊した。


「ねぇ健太」

「ん?何?急に改まって……」

「私、このまま健太とまた離れちゃうのは嫌」

「……はい?」


さすがの健太も、今の愛の言葉がどんなことを意味するのかが分からず、腑抜けた返事を

してしまう。


「このオリエンテーション旅行が終わったら、また健太と離れ離れになっちゃうのは嫌」

「でも、またこっちに遊びにこれるし……」

「本当は、健太達と同じ学校に通いたかったの」

「……へ?」


愛の暴走はさらに続く。


「親の転勤さえなければ、健太達と同じ学校を受けてたよ」


黒い瞳には、何故か涙らしき物が見える。


「私……健太のことが……」

「……僕のことが?」















この瞬間、世界がガラリと変わった気がした。















「……健太のことが」


その時だった。
















「あら?あなたは健太じゃない」















「え?あ、美奈さん」


ここで都合よく美奈が登場した。


「あれ?あなたは……」

「えっと、こちらは僕の幼馴染で、早乙女愛さん。で、こっちが僕の新しい友達……という

 か、初めて喋った子で、中川美奈さん」

「よろしくね、愛」

「あ、はい……」


いつもは活発な愛も、美奈相手だと困りきってしまう。


「じゃあ、私は行くわね」

「えっと、美奈さんはここで何を?」

「乙女の秘密を探ろうだなんて、健太君は変態ね」

「何で!?」


健太にそう突っ込ませた美奈は、廊下をスキップしながら進む。


「……何だったんだろう?」

「さぁ……」


愛と健太は、スキップして帰る美奈の様子を眺めて、そう呟いた。




しばらく経って、健太の部屋の近くまで到達した。


「じゃあ、私は自分の所に帰るね」

「ありがとね、送ってくれて」


健太は愛にお礼を言う。すると、愛は少しだけ顔を赤くして、


「い、いいよ。困ったときは、お互い様でしょ」


と言った。


「……そうだね」


健太は短くそう肯定する。


「それじゃあまた後でね」

「多分、ミーティングの時かな?」

「そうだね。それじゃあね」


ここで一旦、愛とは別れて、健太は自分の部屋へと戻った。

















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