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その166 記憶喪失 1番目

「ん……」


目覚めると、まず最初に目に映ったのは、白い天井であった。

それを見て、少年は自分が病院にいるんだと気づかされた。

同時に、右肩に走るわずかな痛みに、顔をゆがませる。


「(肩が痛い?どうして……)」


少年は、その肩の痛みの正体が分からず、困惑していた。


「目が覚めたか!」

「……え?」


今度は、横の方から別の少年の声が聞こえて来た。

その少年の顔は、どこか心配しているような表情をしていた。

一人だけではない。

少女や少年を含めた、同年代だろうと思われる人が何人かいた。

その中には、もちろんここは病院なので、医者や看護師もいた。


「ここは……」


知らず、そう尋ねてみる。

すると、少年達の内の一人が答えた。


「病院よ……ごめんなさい。私が観覧車に乗りたいなんて言わなければ、こんなことに……」

「観覧車?」


何のことかさっぱり分かっていないようだ。


「……お前、何を言ってるんだ?今日佐伯と一緒に観覧車に乗ったんだろう?」

「……佐伯って、誰?」

「「「「「「は?」」」」」」


何人かの声が重なる。

別の少年が尋ねて来た。


「……なぁ、俺の名前、分かるか?」

「……」



(フリフリ)



無言で首を横に振った。

そしてそのあとに、こう言葉を付け足した。


「あなた達は……誰ですか?それに、僕は……誰ですか?」















「……おいおい、これはなんて冗談だよ」


吉行は、目の前の事態をうまく呑み込めていない様子だった。

自らの目の前で、ベッドに身を任せている健太が発した言葉は、衝撃的な言葉であった。


「どういう、ことですか?」


かなえは、近くにいた医者に尋ねた。

すると、医者は言った。


「どうやら、脳の方に障害が出てしまったようですね……それで、記憶がなくなってしまった

 ものと思われます」

「記憶が、なくなった?」

「はい」


観覧車から落ちる際に、健太は脳に何らかの衝撃を喰らってしまい、それが原因で記憶が飛んでしまったということらしい。

それが一時的のものなのか、または永続的なものなのか。

そのことに関しては不明だが、とにかく今判明していることは、少なくとも現時点では、健太の記憶喪失は確実なものであるということのみだ。


「まさか、俺達の中から記憶喪失する奴が現れるとは……少し意外だったな」

「そんなこと言ってる場合じゃないよ!もしこのまま健太君の記憶が戻らなかったら、

 ボク……ボク……」

「悪い……不謹慎な発言だった」


吉行は、自らの発現の軽率さを謝った。


「とにかく、今私達がするべきことは、いち早く健太の記憶を取り戻すことね」

「そうなるわね……」


美奈の言葉に、夕夏が呟く。

そして、夕夏はこうも付け足した。


「私の……せいなんですわ」

「もう落ち着きけよ。別にお前のせいでこうなった訳じゃない。だから、今は俺達が出来る

 ことをするだけだ」

「……そうですわね」


大貴の言葉を聞いた夕夏は、暗い顔をすることをやめた。

それを見た吉行は、言った。


「よっしゃ!安心しろよ健太。俺達がお前の記憶を絶対取り戻してやるからな!」

「……なんだかよく分かりませんけど、よろしくお願いします」


健太は、かしこまった様子でそう言った。
















まさかの記憶喪失ネタです。

しかし……主人公を記憶喪失にしてしまっていいのだろうか?

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