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その16 オリエンテーション旅行 4番目

4番目です。

ついに出ました、早乙女愛!!

個人的には、この子が好みな私がいます!!

……すみませんでした。

「あ、愛!?」


そう、今ぶつかった少女こそ、健太の幼馴染である早乙女愛なのであった。

黒くてツインテールの髪、パッチリとしている瞳から、可愛げのある顔を持っているのが

愛の特徴である。

その風貌からか、愛好会までもが存在するのだが、それについてはここでは述べないでおこう。

後ほど登場するので。


「ま、まさかこんなところで出会うなんて……」


しばらくの間、2人は見つめあう。

恐らく、こんなところを誰かに見られていたら、恨まれていることだろう。


「くそ、あいつめ……愛ちゃんとイチャイチャしやがって……!」


時すでに遅し。

この2人を、壁から見つめている男がいた。

その男は、健太に向けて敵意を向けている。


「ご、ごめん!愛。ぶつかったりして」

「いいの。私からぶつかったんだから。それに、そのおかげで健太と再会できたしね」


愛は、2つに縛ってる髪をなびかせてそう言った。そして2人は、


「久しぶりだね、元気だった?」

「うん、元気だよ」


再会のあいさつを交わした。


「でも久しぶりと言っても、まだ1ヶ月しか経ってないよ」

「それもそうだけど……なんと言うか、気分的な?」

「それもそうね……」


健太の意味不明な発言にも愛は頷いた。


「何か、こんな再会の仕方もロマンチックだね」

「そうだね」


健太は納得する。


「とりあえず……地図持ってない?道に迷っちゃって」


そう、健太は今迷子中なのだ。

なので、愛に地図を持ってないかと尋ねると、


「持ってるよ。一緒に行こ」

「……え?でも大丈夫なの?」

「久しぶりに話もしたいしね」

「……・そうだね」


2人は笑顔でそう言いあい、話をしながら歩き出した。

そんな2人の様子を、壁から先ほどの男が覗いていた。


「愛ちゃん、楽しそうだな……羨ましい。だが!愛ちゃんを一番愛しているのはこのオレだ!」

「何か楽しそうだな、財前」


ナイスタイミングで吉行が登場した。

そして、そいつの頭を、



(バコン)



ぶったたいた。


「いてぇ〜な!何すんだよこのやろ!って、何だ吉行じゃん。久しぶりだな〜」

「そんなことはどうでもいいけど、お前、こんなところで何してるんだ?迷子か?」


先ほど『財前』と呼ばれた、『愛ちゃんラブ!』と書いてあるハッピを着て、めがねを装着

していて、見るからにオタクっぽい顔をしているこの少年は、財前直樹である。

ちなみに、愛ちゃん愛好会のメンバーの1人で、しかも会長。

何せ、会員は1年生しかいなくて、その中でも一番熱烈的なのが彼なのであった。


「いやぁ〜久しぶりだな我が友よ!」

「どうでもいいが、その格好はいいかげんにやめたら?」


どうやら、中学校の時からやっていたらしい。


「うるさい!お前には愛ちゃんの素晴らしさが分からないのか!……って、こうしてる場合じゃない」


突然直樹は歩き出した。


「どこ行くんだ?」


吉行が尋ねると、やや早口で直樹は答えた。


「愛ちゃんが、やけにハンサムで、優しくて、知り合いっぽい感じの奴と歩いていくのを

 見たから、追いかけるんだ!!」


それはストーカーである。


「……そいつ、健太じゃね?」

「え?健太って、あの木村のことか?」

「ああ、そうだ」


どうやら直樹は、めがねをかけていても、かなりのど近眼らしい。


「だったらなおさら許せねぇ!!」

「何でだよ」


呆れて吉行はそう突っ込んだ。


「いくら友だからと言って、愛とイチャイチャするなんて許せない!!」


もう直樹には自我が見えていない。


「……健太はそういう奴じゃ」

「許せーん!!」


直樹は、吉行の話に耳を傾けることなく、どこかへ去ってしまった。


「それにしても、直樹の奴、懲りないね〜。お前に振り向くことなんかないのに……」


吉行は、少し寂しい顔をして、天井を見上げる。

そして前を向き、自分の部屋へと戻っていった。
















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