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番外編その14 惚れたあの日 1番目

さて、今回は本編とは逸れてこんな話をしよう。

それは数か月前の話。

渡辺大貴という少年が、何故一人の少女に恋をしたのか。

もっと言えば、何故その少女と出会ったのか。

本編では未だ明かされていないこのことを、今回は述べてみようと思う。

『一目ぼれ』と書かれてはいるが、どう言った経路で出会い、一目ぼれしたかまでは書かれて

いないためだ。

その為、今回の話の主役は健太ではなく、大貴となる。

その部分はご了承頂きたい。

では、始めるとしよう。

渡辺大貴の、とある一日の様子を。















「お〜い、大貴〜」

「どうした?」


聞き覚えのある声を聞いて、大貴はその方向に首を向ける。

そこには、ニヘラニヘラと何やら不気味な笑いを浮かべている吉行の姿があった。


「吉行……どうしたんだ?」

「いやぁ、今日偶然にも宿題忘れちゃってさ〜。見せてくれるとありがたいかな、なんて」

「お前……木村がいるだろ。木村に見せてもらえばいいじゃねぇか」

「それもそうなんだけど……実はな」


そこまで吉行が言いかけて、大貴は納得する。


「なるほど……とうとう見放された、というわけか」

「そうなんだよ……って、何も言ってないのにどうして分かった!?」

「お前のような奴の考えなんて、大体分かるっての」


呆れながら、大貴がそう答える。

そんな大貴に、吉行は不満だったようで、


「そ、そんなことはないぞ!俺だってやる時は……」

「じゃあ、宿題は自分で何とかしろ」

「そ、そんなぁ……」


項垂れる吉行。

そんな吉行の様子を満足そうに見下ろすと、大貴は自分の席へと戻る。

そこで。


「おはよう、大貴」

「よお、木村……あれ、どうする?」


健太が大貴の所にやってきて、挨拶をする。

大貴は、教室の隅の方で体育座りをしながら何かを呟いている吉行を指さし、健太に尋ねる。

健太の答えは、


「……ほっといても大丈夫だと思うよ。すぐに元に戻るだろうから」


意外と吉行を突き放すような答えだった。


「お前……意外と吉行のこと突き放すんだな」

「いや……さすがに宿題見せてって言ってきたの、これで何十回目だし。そろそろ自分で

 宿題をやった方が」

「……それって、中学からの通算か?」

「だね」


その健太からの情報を聞いて、大貴は改めて呆れた。

吉行は、そこまで怠け者だったのか、と。


「まぁ、入学してまだ二か月目……それで宿題を忘れるってのも、なかなか勇気ある行動だと

 俺は思うけどな」

「まぁ……吉行だし、多少仕方ないと言ってしまえば、それまで何だけどね」

「何にしろ、あいつは甘やかすととことん甘える奴だな」

「自立しないとまずいわよね」

「そうそう……って、中川。いたのか」

「ええ、ずっと」


どこかで聞いたことのあるようなセリフを言いながら、背後から美奈がその姿を現す。


「吉行の悪い癖は、すぐに他人にすがりつくところね」

「……お前、たった数か月で、このクラスの奴ら全員の特徴つかんだんじゃあるまいな?」

「つかんだわよ」

「……凄いね、美奈さん」


健太と大貴の二人は、その美奈の情報収集能力に、ただ驚くばかりであった。
















前回とは打って変わって、なんと時系列まで変わってます。

まぁ、大貴主役の話も書いてみたかったので。

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