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その162 流れで行われたデート 6番目

「まずはステファニーによる連続輪くぐりです!」


トレーナーの人がそう説明すると、水中から何個かの輪が現れて来た。

大きさは、水中に近くなっていくとともに、どんどん小さくなっていっている。

最後の輪にしては、ステファニー一匹がやっとくぐれるような小ささとなっていた。


「あんなに小さな輪をくぐれるのでしょうか……?」

「う〜ん……」


正直の所、健太にもわからなかった。

出来るだろうということは予測していたが、本当に出来るのかまでは不安だった。


「それでは参ります……ステファニー!」



(ピ〜!)



笛の音とともに、ステファニーは潜る。

そして、トレーナーの人が次の笛を吹いて、



(ザバ〜ン!)



水中から飛び出してきた。

まず、近くの輪をくぐり、そのまま落下していきながら残りの輪もくぐる。

最後にある小さな輪も、ステファニーはくぐってみせた。


「「「「「「おおおおおおお!!!!」」」」」」


これには、観客は大興奮。

夕夏もその中に乗じていた。

健太は、普通に驚きを見せていた。


「続きましては……ジョニーの出番です!」


続いて、トレーナーはジョニーを呼ぶ。

すると、ジョニーは泳ぎながらトレーナーのもとへと向かう。


「よしよし……それじゃあジョニー、よろしくね!」


と、ジョニーに一言言ってから、ステファニーの時同様に、笛を吹く。

すると、ジョニーは立ちあがる(立ち泳ぎをする)。

その状態のジョニーに、ボールが投げ込まれる。

ジョニーはそれを、落とさずにうまくキャッチする。

そして、それを持ったまま、立ち泳ぎをし始めた!


「す、凄い……どうやって泳いでいるのかしら?」


夕夏は、それはもう興奮しながら、ショーを見ていた。

そんな夕夏の動きの一つ一つを見て、何だか健太は微笑ましいとも思っていた。


「あ、まだジョニーの番……」

「いや、今度は三匹で?」


トレーナーは、三匹のイルカ達を呼び寄せる。

そして、観客達に説明した。


「さて次は、こちらの三匹によります、キャッチボールです!」


どうやら三匹でキャッチボールをするらしい。

ボールの大きさは、先程ジョニーが使用したものと同じ大きさ……というか、ボール自体が、先程のものなのである。


「あれでキャッチボールを……?」

「……どうやってやるんだろう?」


二人が……いや、会場に集まっているほとんどの人が、どうやってやるのだろうかという疑問を持つ中で、問題のキャッチボールが始まった。

トレーナーの合図とともに、三匹は立ち上がる。

まずは先程ボールで技を見せてくれたジョニーに渡される。

それをジョニーは難なくキャッチ。


「「「「……」」」」


色んな人が見ている中、ジョニーは首を捻って、前へとボールを放る。

すると、その先にはステファニーがいて、小さく口を開けて、



(パコッ)



それを口でキャッチした。


「「「「お〜」」」」


同時に、声が洩れる。

今度は、ステファニーがどこかにボールを放る。

しかし、その先には誰もおらず、誰もがこれは失敗か?、と思ったその時だった。


「なっ……!?」

「は、速っ!?」


なんと、その位置を予想していたかのように、玄重郎がそこまで泳いでみせたではないか!


「「「「お〜!!!!」」」」


これには観客大興奮。

しかも、玄重郎はボールをヒレでキャッチしていたのだ。


「みなさん、この三匹に拍手を!」


トレーナーがそう言うと、



(パチパチパチパチ!!)



観客達は拍手をし始める。

健太と夕夏の二人も、もちろん拍手をした。

するとどうだろう。

なんと、玄重郎も拍手をし始めたではないか。

もちろん、イルカに手があるわけではないので、尾ビレを使ってだが。


「最後に一つ、玄重郎の番です!」


トレーナーは、拍手みたいなことをしている玄重郎を呼び寄せる。


「それでは、短い時間でしたが、イルカショーに足を運んで頂いたことを光栄に思います。最後までお付き合いして頂き本当にありがとうございました!」



(ペコリ)



すると、どうだろう。玄重郎がトレーナーと一緒にお辞儀をしたではないか。


「お、お辞儀?」


なかなかに珍しい光景に出くわした、と健太は思った。

その、玄重郎の挨拶と共に、イルカショーは終わりを告げた。














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