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その157 流れで行われたデート 1番目

遂に、健太と夕夏がデートします。

遂に、この日曜日がやって来た。

夕夏はすでに退院していて、この日夕夏は駅前にいた。

理由は、今回一緒に出かける相手を待つ為だ。

久し振りに外に出て浴びる太陽の光は、やけに眩しく感じられる。

周りの人達から発せられる声なども、一週間ぶりのものであった。


「……はぁ」


いくら半分勢いで言ったとはいえ、まさかこのような展開になるとは、夕夏は予測出来ていなかった。

たった一回のあの会話のみで、まさかデートまで発展するとは考えていなかったらしい。

しかし、言ってしまったものは仕方ない。

なので夕夏は今日、こうして覚悟を決めて待っていた。

本来なら集合時間である10時よりも30分速く来ていたのもそのためであろうか。


「お〜い!」

「!!」


その時、手を振りながら夕夏の元にやって来る、一人の少年が現れた。


「ごめんごめん……約束の時間、過ぎてたかな?」

「いえ、私が速く来てただけですわ」


健太は、心配するように夕夏に尋ねる。

夕夏は、そんな心配は無用だとでも言わんばかりの答えを返した。


「そっか……でも、待たせちゃってゴメンね」

「え、ええ……いいですわよ」


申し訳なさそうに謝る健太を見て、夕夏は許さないわけにはいかなかったらしい。

多少顔を赤くしながら、夕夏はそう答えた。


「それじゃあ……まずはこの場から動こうか?」

「そうですわね」


健太の提案に夕夏も賛成し、二人はその場所から離れて歩き出す。

息がぴったりなのかは不明だが、その歩幅は自然と合っている。


「まずは何処に行く?」


数十m歩いたところで、健太は夕夏にそう尋ねた。


「そうね……水族館なんてどうかしら?」

「水族館か……なら、ここから歩いて二十分くらいのところにあったね」

「ええ。一度行ってみたかったんですの、水族館」

「え?行ったことないの?水族館」


話の流れから、健太はそう推測する。

すると、正解を意味するように、首を縦に降ろした。


「近くに水族館なんてありませんでしたし、親が魚類苦手でしたから……」

「そうだったんだ……なら、今日は思う存分楽しみなよ」

「!!」


微笑みながらそう言った健太に対して、その顔を見た夕夏の顔は、自然と赤くなっていた。


「え、ええ……」


そのせいもあってか、夕夏はしどろもどろにそう答えていた。


「ん?どうかしたの夕夏さん?顔が赤いけど……」

「な、何でもございませんわ!さ、速く行きましょ!!」

「あ、ちょっと待ってよ!夕夏さ〜ん!!」



(ダッ)



突然スピードが速まった夕夏に追い付こうと、健太もスピードを速める。

その甲斐あってなのか、目的地に、五分程早めに到着した。


















「……」


数分前。

一人の少年が、草むらに隠れてその様子を見守っていた。

その少年は、中心が白くてその周りの毛が赤い髪の毛という風貌をしていた。

彼の名前は、白銀将太。

自称、夕夏と結婚する男だ。


「……あの二人の後を追え。気付かれないように気を付けろ」

『ラジャー』


耳から垂れるマイクに向かって、何やらそう指示を出す。

出された方は、渋い声と共にそう言葉を返した。


「……待ってろよ、木村健太。必ず、お前を……」


将太は、小さな声でそう呟いた。














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