表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/297

その156 演奏会 4番目

そして、20分が経過して、


「そろそろ始まる時間かな〜」


健太がそう呟いたところ。

舞台の幕が上がり、そこから吹奏楽部の人達が現れて来た。


「お、始まるな」


その様子を見て、大貴が呟く。

同時に、部長と思われし男性が、舞台の真ん中に立つ。


「本日は、私達吹奏楽部の演奏会に来てくださって、誠にありがとうございます。私達は、

 ここで演奏会を開かしてもらっているという感謝の念を忘れずに、今日お越しになりました

 皆様方に、心から演奏をしたいと思っています。どうか、最後まで聴いてください」


部長の挨拶が一通り終わったところで、準備に入る。

その中には、もちろんかなえや夏美の姿もあった。


「ほお……」

「どうかしたんですか?美奈さん」


何やら感嘆している様子の美奈に対して、隣の席に座っている杏子が尋ねる。

すると、


「いやあ、かなえはフルート、夏美はピアノだったんだな〜って」

「もっと早い段階から知ってるはずだよね……?」


半分呆れたと言った感じで、健太は突っ込みを入れた。


「あ、準備が終わったみたいだよ」


美咲がそう言った時、吹奏楽部の人達の準備が完了していて、後は誰かが合図を出すのみとなった。


「それでは聴いてください。曲は、粉雪です」


部長のその言葉と共に、曲が始まった。

最初は、ピアノのソロから入る。


「おお……」


思わず大貴がそう呟いてしまう程に、夏美の演奏は上手かった。

聴く者を幸せにするような、そんな力があるように思えた。

その後、歌の始まり部分から、トランペット・フルートなどの楽器が入る。

その間から聞こえる木琴・鉄琴の音は、意外にも、この音がなかったら物足りないような気がするので、不思議なものである。


「凄い……」


周りが楽器の音で包まれているため、ミサのその呟きは、消え入るように溶け込んだ。

そして、サビの部分に入ると、それまで静かに演奏していたドラムが若干音を大きくし、それに合わせて他の楽器の音の大きさも自然とあがる。


「「……」」


大地と由美は、言葉が見つからない様子でただ立っていた。

彼らだけではない。

ここにいる誰もが、目の前の演奏に対して『凄い』と言う言葉を持っていながら、それ以上の言葉は出なかった。

そして、そのまま一曲目は終わった。



(パチパチパチパチ!!)



途端に響く、拍手の音。

吹奏楽部の一同は、その拍手をある程度聞いた後、次の曲に入る。

次の曲は、ソロの場面が多い曲だった。

ピアノのソロから始まり、ドラムのソロ・トランペットのソロ、など。

そして、その順番通りに、かなえの番が回ってきた。


「次はかなえさんの番だね」

「……うん」


美咲がそう言うのに対して、健太は同意する。


「(……大丈夫。いつもの通りにやれば、絶対出来る!)」


心の中でそう呟くと、かなえはソロパートに入る。


「おお……」


健太は、思わずそんな言葉が出た。

それだけ、かなえも上手かったのだ。

短いソロパートながら、上手く演奏していた。

そして、わずかなその時間もあっという間に過ぎていき、演奏は終わった。



















結果的に、演奏会は成功した。

















これで『演奏会』編は終わりです。

微妙な終わり方で申し訳ありませんが……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ