その154 演奏会 2番目
そして、演奏会当日。
健太達は、やはりいつものように駅前に集合ということとなった。
と言っても、今回は電車に乗って行くわけではなく、駅の近くに目的地があるので、そこからは徒歩となる。
健太は、一足早く集合場所に来ていた。
「楽しみだな〜かなえさんの演奏会」
美咲と共に。
「そうだね……一体どんな演奏会になるんだろう」
「あ〜楽しみだな〜」
美咲がそう呟いた所、今回の演奏会の主役であるかなえがやってきた。
夏美も一緒に来ていた。
「おはよう、かなえさん・夏美さん」
「おはようございます〜」
健太と美咲は、やってきた二人に対して挨拶をする。
ただ、美咲は少し疑問を感じつつあった。
それは夏美も同様であった。
そう。
二人は互いのことを知らないのだ。
「あ、紹介しておくね」
健太は、二人のことを紹介する。
その時、美咲の目が若干光ったような気がしたが、健太は気にしないことにした。
「それじゃあ……夏美さん、これからはよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
(ペコリ)
夏美は、美咲に対してお辞儀をする。
それを見た美咲は思った。
「(この人、何て礼儀正しい人なんだろう……年下の私にもお辞儀するなんて……どうしてお兄ちゃんの周りには、いい人が多いんだろう)」
そうしている内に、どうやらまた三人やってきた。
「うっす!」
「おはよう」
「おはようございます!」
上から順番に、吉行・大貴・杏子である。
どうやら杏子は、吉行に呼ばれたらしい。
「おはよう〜杏子ちゃん!」
「美咲ちゃん!」
(ギュッ)
学校では毎日会っている二人だが、こうしてどこかに行くのは久しぶりなのだそうだ。
なので、嬉しさのあまりに抱き合っていた。
「おはようございます、吉行君、大貴君」
「お、おう……」
初めて会った時から数ヶ月が経った今でも、夏美に会う度に大貴は緊張してしまうのだという。
「情けないわね……あんたときたら」
「あ、美奈さんにミサさん。二人ともおはよう」
「やあやあ諸君。元気に○○○○やってるかね?特に男子。可愛いあの子の○○○を思い浮かべながら○○○○しちゃってるのかね?」
「伏せ字多すぎで分かんないっつの!」
美奈から発せられる意味不明な言葉の羅列に、吉行は突っ込みを入れていた。
「アハハ……それじゃあ、これで全員かな?」
「だな。大地と由美の二人もいるしな」
「……何処に?ていうか、誰?」
美咲と杏子の二人は、顔を合わせて疑問の色を浮かべる。
「ああ、簡単に言えば、幽霊だ」
「「ゆ、幽霊!?」」
二人は、声を揃えて驚きを見せた。
「ち〜す」
(フッ)
突如、そんな二人の前に、大地と由美の二人が現れた。
「「キャア!!」」
(ギュッ)
突然の出来事に驚いた二人は、思わず近くにいた健太に抱きついた。
「わはははは〜!ドッキリ成功!!」
「……なんか、ゴメンね」
「……こんな幽霊、本当にいるのかしら」
大地と由美の反応を見たミサは、思わずそう呟いていた。
気付けば二学期に入ってもう五十話超えていた……。