番外編その12 厄介な来訪人 3番目
「それで、一体どこまで話を戻せばいいんだ?」
「いや、もう面倒臭くなったし、このままでいいんじゃね?」
「そんなわけにいくか!」
納得しようとしていた吉行と大貴に、将太は満足いかないと言ったような顔をして抗議する。
「何だよ、まだいたのか」
「いちゃ悪いかよ」
「ええ。大いに迷惑よ」
「うわぁ……」
まさか夕夏からそのような言葉を頂けるとは思っていなかったのか、将太は固まった。
そんな様子を見て、一同は笑いを隠せずにいた。
「おいそこ!笑うな!!」
「ハハハハハ!……何というか、必死だね」
「必死で悪いか!」
マコがそう言うと、将太はそう切り返した。
「まっ、結論から言ってしまえば」
「「アンタ邪魔よ」」
吉行がそう切り出すと、ミサと咲は声を揃えてそう言った。
「何故だ……別に夕夏に彼氏がいるわけじゃないんだから、別にアタックしてもいいだろ!」
「そのアタックが異常だから、夕夏さんは引いてるんだと思うけど……」
健太は呟くようにそう言った。
「そんなことはない……はず」
「自信ないんだな」
「と、とにかく!夕夏は将来俺の花嫁になる女だ!どう足掻こうが無理……」
「なら、夕夏の心を射抜くような男性が現れれば諦めるのね?」
「ああ?」
ここで、やはり美奈が提案をしてきた。
その提案に対して、何故か一同は不安を隠せないでいた。
「幸い、ここの病室にはあなたを含めて男子が四人いるわ」
「それが……どうしたの?」
分からないと言った様子で、かなえが尋ねる。
「ならば話は簡単よ。この四人の中で、一番夕夏の心に残っている人を聞けばいいのよ」
「「「「「……は?」」」」」
何人分かの声が重なる。
そのどれもが、疑問を表す言葉だった。
「それはつまり……どういうこと?」
「だから、まずはこの中から夕夏がいいなと思った人物を指名する。その人物と、退院した
週の日曜日にデートに行く。これで完璧」
「何が!?」
健太はこの時こう思った。
これは、むしろ話がこんがらがるのではないか、と。
「それじゃあお聞きします……あなたが指名する男子は、誰ですか?」
どこぞの司会者のような感じで、美奈は尋ねる。
「楽しんでないか?中川」
「ええ、割と」
そんな様子を見ていた大貴が、思わずそう突っ込んでいた。
「はっ……そんなの決まってるじゃないか。それはこの俺、白銀将太様だ……」
「そんなわけないじゃない」
『白銀将太』という選択肢は、たった2秒で消滅してしまっていた。
「……俺、こんなにネタキャラ扱いされるの、始めてかもしれない」
「始めてなのか?てっきり、いつもかと思ったが」
「……」
落ち込む将太を横目に、夕夏は考える。
「「……」」
その様子を、どこか真剣に眺める、かなえとマコの二人。
「どうしたの?二人とも」
そんな二人に、健太が尋ねた。
「え?ええっと……な、なんでもないよ!」
「うん!そうそう!何でもないの!!」
「……そう?」
健太は、そんな二人の反応を見ると、不思議そうにもう一度眺めて、納得した。
その間に、どうやら夕夏の答えは出たようだ。
「出たかしら?それじゃあ、その人物の名を!」
「……木村、健太でお願いしますわ」
瞬間。
病室の中の空気が、一瞬にして凍りついた……ような気がした。
次回で、『厄介な来訪人』編が終わります。