その145 コンサート 1番目
今回はマコのコンサートの話です。
アイドル『MAKO』、覚えてますか?
文化祭が終わり、9月も終わりに近づいた今日この頃。
健太の教室では、マコより次のような話が出た。
「今度の日曜日に、コンサートがあるんだ!」
「へぇ……けど、どこで?」
健太はマコに尋ねる。
「野外コンサートだから……確か円儒公園だったと思うよ」
「円儒公園……あそこか」
吉行は納得する。
そして。
「そうと決まれば、早速チケットを取りにいかなきゃな!!」
「嫌に張り切るな〜お前」
「当たり前よ!マコちゃんの為なら、例え火の中水の中ってな!!」
(キラ〜ン☆)
久し振りに歯元が光った吉行。
だが、大抵そう言う時は、周りの人達を凍らせる役目を果たすのだった。
「まっ、アホはほっといて……それは私達は行ってもいいの?」
さりげに酷いことを言いながら、ミサが尋ねる。
「もちろん!みんなで来てくれた方が、ボクは嬉しいよ!」
「じゃあみんなで行きましょうか……ねぇ?大地、由美」
何もない虚空の空間に向かって、美奈は言う。
すると。
(スッ)
何とその空間から、大地と由美の二人が出てきたではないか!!
「うわぁ!脅かすんじゃねえよお前ら……俺はまだ慣れてないんだぞ……」
文化祭が終わった後、健太とかなえは、大地と由美のことをみんなに紹介した。
ほとんどの人は何も言うことなく友達になったのだが、最後の最後まで恐怖を覚えていたのは、吉行ただ一人のみだった。
怖いもの嫌いだったはずのマコは、なんとあっさり受け入れたのだ。
「ていうか、あなた達って、消えるも現れるも自由なのね」
「そうなんだ。だからたまにこの教室に入って来て……」
夕夏の質問に、大地はそう答える。
「あら。私はいつも二人のこと見えてるわよ」
「「え」」
これには、大地と由美の二人は驚いた。
「大地が外川の物をごく自然に奪い去っていったり、由美がある人物のことを見ながらうっとりしてたり……」
「わーわー!!その先は言わないで!!」
「お前……本当に何者なんだよ」
慌てる由美に対して、軽く恐怖を覚える大地。
「まあ……美奈さんの前だとプライベートのことなんか関係ないからね。情報網だけは確かだよ」
「……地味に嫌だね、それ」
健太の言葉に、由美が反応した。
「脱線したから話を戻そう……今度の日曜日に雛森のコンサートに行くことだったよな」
大貴は話を戻すためにそう切り出した。
「だね。みんなも行けるよね?」
健太は、吉行達にも尋ねる。
「俺はもちろん行くぜ!」
「まぁ……俺も暇だから行くか」
「私も行くよ」
「私も……ふふっ」
「その奇妙な笑いは何?……あっ、私も行くわよ」
「私も行きますわよ」
「俺も!」
「健太君が行くなら、私も……」
理由等もついているが、全員行くこととなった。
「ありがと!とっても嬉しいよ!!」
「はぅ……マコちゃんの極上の笑顔……」
「吉行、鼻血鼻血」
吉行の鼻からは、無残にも鼻血が噴き出ていた。
「それじゃあ、駅前に9時に集合ね!」
ミサはそうリーダーシップを取ると、
「お〜座れ〜」
という声とともに、外川が教室に入って来た。