番外編その6 幽霊騒動 2番目
怪談話をしている内に、旧校舎が見えて来た。
先ほどの話が聞いているのか、吉行とマコの二人は、もはやただ歩くのみの人形と化していた。
「それで?その二人はどうなったの?」
仕方ないと言った感じで、健太は美奈に尋ねる。
「二人は後ほど見つかったわ……ただ、地面が抜けてそこから一気に下まで落ちたみたいで、
死体として、だったけどね」
「ひっ!」
吉行の体がはねた。
「吉行……過剰に反応しすぎ」
健太はあきれたような口調でそう呟いた。
「んで、ここがその問題の旧校舎」
「……うわぁ。想像以上にヤバい」
吉行は、旧校舎全体を見た瞬間に、そう呟いてしまっていた。
「結構雰囲気出てるね……」
「やるな……生徒会副会長のクラス」
それぞれお化け屋敷に感想を述べる。
並んでいる人数も結構いて、このお化け屋敷が結構人気となっていることを悟らせる。
「ところで、このお化け屋敷ってどんなところなの?」
咲が美奈に尋ねる。
しかし。
「さぁ。そこまでは知らないわ。入ってからのお楽しみね」
「ていうか、今の内に誰と入るか決めちゃわない?」
ミサのその提案に、一同は賛成した。
「じゃあ人数を確認してみるわね……私・かなえ・健太・吉行・マコ・ミサ・咲・夕夏……
おっ。ちょうど八人ね」
「二人ひと組ってところだな。よしっ!マコちゃんとは俺が……」
「待ちなさい。あんたら怖がり二人が組んだところで何も変わらないでしょうが」
「……それもそうだな」
想像して、吉行は納得したらしい。
「それじゃあ、私がマコと組むわね」
まずは、ミサとマコペアが決定した。
「でもボク……健太君と組みたいな」
「我慢しなさい。あなたと健太が組んだら、スキャンダル物でしょうが」
マコはアイドルだ。
なので、男子と二人きりで何かをしていると、噂されかねないのだ。
「うう……分かってるよ」
「ならよし」
「それじゃあ次は、私と咲ね」
「だね」
続いて、咲と夕夏のペアが決定する。
「私は吉行をいじ……いや、なんでもないけど、吉行と組むわ」
「おい。今『いじる為』って言おうとしなかったか?」
「別に」
美奈と吉行ペアも決定した。
そして、残った健太とかなえがペアを組むこととなった。
「まさかかなえさんと組めるなんて……」
健太はぼそっとそう呟く。
「何か言った?」
かなえの耳に少しだけ届いていたみたいで、健太にそう尋ねて来た。
「な、なんでもないよ!」
顔を赤くして、健太は否定する。
そんな様子を見て、かなえは首をかしげたが、
「それじゃあ、乗り込むわよ!」
やがて、美奈の一言によって現実に戻ってきた。
ともあれ、健太達はそれぞれお化け屋敷に入って行った。
そこで何が起こるかも知らずに。