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番外編その5 幽霊騒動 1番目

番外編、幽霊騒動の巻の始まり始まり〜。

「ところで、あなた達は旧校舎の噂を知っているかしら?」

「な、何だよ急に?」


いきなり話をし始めた美奈に対して、吉行がおびえたような声をあげる。

同時に、マコの体までもがブルッと震えだす。


「旧校舎の噂?そんなの聞いたことないけど……」

「私もつい最近知ったのよ?ある情報筋から」

「本当に美奈さんの情報筋って凄いよね……」


ただただ感心する健太。


「それで?話してくれるかしら?その旧校舎の噂とやらを」

「おいおい……本気か?佐伯。聞いたら、俺、マジでやばいかもしんねぇ……」

「ならなおさらね」

「いじめとしか思えねぇ」


吉行は、即座に突っ込んだ。


「それじゃあ話すわよ……?この学校の旧校舎に伝わる、とある伝説を……」

「ってちょっと待て!噂じゃなかったのか!?何だよ、伝説って!?」


そのままの勢いで、吉行は突っ込みに入る。

対する美奈は、そんなのどうでもいいじゃないかと言わんばかりの顔をしている。


「人って、精神的に極限まで追いつめられると、逃げに入るっていうけど本当なんですわね」

「夕夏……憎み口モードに入ってるよ」


どうやら夕夏には、そのようなモードがあるらしい。


「まぁいいわ。さっさと始めるわよ」


そして、美奈は語りだす。

『旧校舎の噂』という物を……。















昭和58年6月。

私立相馬学園の歴史は、ここから始まったという。

その日は、激しい雷雨の日だった。

木造建築だった当時の相馬学園にて、とある集団がこう提案したのだ。


「なぁなぁ、この学校で肝試しでもしねぇ?」

「肝試し?何で?」

「何でって……この学校さ、なんだか雰囲気出てるだろ?今どき木造建築の学校なんて

 珍しいものだぜ」

「そうかな?」


当時にしてみても、やはり木造建築の学校は珍しかった。

鉄筋コンクリート建ての物が増える中で、新築の物かつ、学校という公共の施設において、

木造にする意味はあまりないのだ。


「というわけで、今夜この学校に集合するぜ!!」


一人の男子の提案により、肝試しをすることが決定事項となったのだ。

そして、夜になり、彼らは集まった。

人数は四人。

男子二人に女子二人だ。


「んじゃ、男子と女子で一人ずつ、組みたい奴を選ぼうぜ!」

「お前さ……ひょっとしてそれがしたかっただけなんじゃねえの?」

「そうじゃねえって。ほら、組むぞ」


こうして、彼らは二人一組になり、旧校舎へと順番に入っていった。

夜の学校、かつ雷雨。

木造建築故の、床の軋む音。

恐怖を植え付けるには充分すぎる条件だった。


「ね、ねえ。な、何だか本当に怖くない?」

「ん?ああ、そういうものだろうな。本当に雰囲気出てんよな〜しかし」


二人は怖さを紛らわすためにも、会話を交わしながら進んでいく。

そして、あることに気づく。


「……ところで、ひとつだけ聞いていいか?」

「何?」

「……あいつらの気配、感じないんだけど」


あいつらとは、彼らよりも先に入った二人を指す。


「……そう言えば」


おかしい。

先に入ったのなら、前の方で少しは気配を感じないはずがない。


「……出るぞ」



(ダッ!)



二人は慌てて外に出る。

しかし。


「……そんな」


そこには、誰もいなかった。

影などみじんにも感じられない。


「……待ってみようよ。後ちょっとだけ」


しかし。

3分経っても。

30分経っても。

1時間経っても。

二人は帰っては来なかった……。















それ以来、その校舎は即座に使用しなくなり。

今の校舎が出来上がったのである。
















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