その144 再会 6番目
そして、時間が大分経過して、昼の時間も終了し、健太達はシフト交代をし、現在大人数になって行動をしていた。
行き先が特に決まっているわけではなく、ただ廊下をぶらついているという、なかなかにはた迷惑な光景である。
「現在、私達は何もすることがないから徘徊しているわけだが……」
「あのな。徘徊なんて適当に使うんじゃねぇよ」
美奈の言葉に対して吉行が突っ込むといったいつものような光景が広がっていた。
「昼御飯は食べちゃったし、やることはやっちゃったし……」
「本当に何処に行こうか?」
「……そうだ!お化け屋敷に行こう!」
「「「…………は?」」」
ミサの言葉に反応するように、一同はハモる。
そもそもお化け屋敷なる出し物があるのだろうか。
「あら、あるみたいよ。学年は上らしいけど」
「二年C組だったと思うよ」
「C組……あっ!」
健太は、ここで何かに気付く。
「どうした?健太」
吉行がそう尋ねる。
「確か生徒会副会長のクラスだな。ちょっと興味あるかも」
「何?副会長に何か謎みたいなものでもあるの?」
「……いや、そういうわけじゃないけど」
少し戸惑う感じで尋ねた咲に対して、夕夏は至ってまともに答える。
「だけど、何でまたお化け屋敷なんて出し物を……」
「とある学校だと、ワイセツ行為があったからってお化け屋敷が駄目になったらしいよ」
「へぇ……」
かなえからの情報に、ただ相槌を打つ健太。
「まっ、そういうことする奴が悪い」
「自業自得ね」
「まぁそうだけど……」
「さぁさぁ善は急げってね。早く行きましょ」
先導するミサに対して、ついて行く健太達。
そんな中で、咲と夕夏の足取りが軽かったのは、気のせいではなかった。
ただ、約二名、別の意味で足取りが重くなるものがいた。
「「……」」
「ん?どうしたの?吉行」
「い、いや、なんでもないぞ……し、心配ないさー!!」
大分壊れていたのは、吉行だ。
天に向かって(つまりは天井に向かって)、右腕を伸ばしながら叫ぶその顔は、強張っている。
つまり、吉行は幽霊系が苦手な人物の一人なのだ。
「……」
「おやぁ?どうしたのかなぁ?マコ?」
「うわぁ!み、美奈さん!?」
突如としてマコの後ろに現れた美奈に対して、マコは驚きを見せる。
「ひょっとして……幽霊、怖い?」
「!!そ、そんなことは、ないよ!」
「マコ……言葉が震えてるから」
マコの声が震えていることを、健太は指摘する。
「そ、そんなこと、ないと、思うよ」
「……駄目ね、この二人」
夕夏は、そんな二人の反応を見て、思わずそう呟いていた。
「ところで、一つ気になることがあるんだけど、いい?」
「何かしら?」
ここで、かなえが美奈に尋ねた。
「確か二年C組って、空き教室になってたはずなんだけど……」
「ふっ……甘いわね」
美奈は自慢気に言った。
「実は、二Cの出し物は、旧校舎全部を使ってのものなのよ!!」
「そこまでやるか?普通……」
項垂れた様子で、吉行は呟いた。
「あら?ひょっとして……」
「行くさ!行ってやらぁ!!男として引くわけにいかねぇよ!!」
「もうヤケクソだね、吉行は……」
ただあきれ返る健太。
一方で、絶望感丸出し状態のマコ。
「……諦めなさい」
「……う〜」
咲の一言がトドメの一撃となり、マコはついに崩れた。
次回より、番外編に入ります。
と言っても、お化け屋敷での様子なのですが。