その141 再会 3番目
今回の話は……若干危険ですね。
今小説始まって以来、危険度ランキング第一位に分類するでしょう。
「あら?あなたはどちら様かしら?」
「えっと……この学校に通ってる、友人を探してるんだけど」
「友人?どんな性格してるんですか?」
かなえと美空と美奈は、突然やって来た女子生徒の対応をしている。
その横では。
「ちょ、ちょっと!まずはボクを助けてよ!!」
「あらぁ?ちょっと手が滑っちゃったかしらぁ?」
「ひぅっ!ど、どこ触って……んぁあ」
「そうよ……そうそう。こうしてあなたも、快楽の渦に……」
「呑み込まれたくない!呑み込まれたくないから!!……んぅ」
背景に百合の花が似合いそうなことをやっていた。
しかし、見るに見かねない、下手をすれば地獄絵図のような光景だ。
「あうぅ……もう、許してください……」
「!!か、可愛くて……話すことも出来ないわ!!……ジュルリ」
「た、食べられちゃう!ボク食べられちゃう!!助けて、助けて健太君!!」
呼んだ所で、健太は只今絶賛仕事中なので、来る筈がない。
そんなマコの声に気づいているのか気づいていないのか、とにかく聞こえない風に四人は話を
続ける。
「……まさかとは思うけど、あなた、咲とか言う人かしら?」
「……そのまさかだけど」
「そ、そうなの!?」
かなえは驚いたような声をあげる。
『咲』という名前は、以前夕夏が話した過去の話に登場した、あの女子生徒の名前だ。
「私の名前は高倉咲。えっと……」
「ああ。私は中川美奈よ。こっちは相沢かなえ」
「よろしくね」
「私は倉木美空です。よろしくお願いします」
「あ……こちらこそ」
そのまま自己紹介までもつれ込む四人。
「じゃあ、あなたの目的は、夕夏に会うこと……でいいのかしら?咲」
「あ、うん……そうだけど」
「謝るの?」
美奈の言葉は、それこそ確信めいたものであった。
まるで、咲がここに来た理由を、すでに分かっていたかのように。
「……そう、よ」
だから、自分の目的を早々に見破られたことに対して、驚きを隠せずにはいられない咲。
そんな様子の咲を見て、美奈は一言告げた。
「なら、私達が連れてってあげる……とはいいたいけど、生憎今、夕夏達とは別行動をしてる
所なのよ。だから、すぐにとはいかないわね」
「そう……」
残念そうにそう呟く声が聞こえる。
「けど、私達と一緒に行動すれば、多分割と早くに見つかると思うの」
「……そうかも知れないわね。この学校の生徒に聞くのが一番いいと思うわ」
かなえの意見に、咲も納得したらしい。
「それじゃあ、早速私達のクラスの所に行きましょ」
「え?何故に?」
「だって、その夕夏こそが、私達のクラスメイトだもの」
胸を張って、美奈はそう告げた。
「そ、そうなんだ……結構心強そうね」
「そうよ。私は結構頼りになるのよ」
「なら……ボクのことも助けてよ……ぁん。そこは、らめぇ……んああ!」
遠くでは、マコが助けを求めていた。
だが。
「だが断る!」
「何で!?」
「そっちの方が面白そうだから」
「え〜!?」
「ということだから、私と一緒に、星空のハネムーン☆と行きましょ、マコちゃ〜ん♪」
「ひ、ひぅっ!や、やだぁ……あふぁ!」
段々と表記できないような事態に陥っているこの二人。
さすがにこれ以上はやらせるわけにはいかないと感じたのか、
「あ、あの。そろそろやめた方が……」
美空はマコを襲っている人物に向かってそう言った。
しかし。
「何言ってるのよ。私達は今お楽しみ中なのよ。委員長でも邪魔出来ないわよ、私達の
仲は……ほらぁ、ここがいいのかしら?」
「あ……やぁ……ふぅ!」
「……やめなさい。もう本当にやめなさい。即刻やめなさい!!」
ついに耐えきれなくなったのか、咲が間に割って入って、二人を分裂させる。
「はぁはぁ……あ、ありがとう」
「どう致しまして……って、何?この猛獣のような表情は!?」
「ガルル……可愛い女子はいねぇがぁ……可愛い女子はいねぇがぁ!!」
(ダッ!)
そのまま去って行ってしまった。
「……ナマハゲ?」
咲はそう呟いた。
これが、数分前の出来事。
そして、数分後に、彼女達は1−B執事喫茶に来ることとなる。