その140 再会 2番目
二番目です。
久々のあの人の出番です。
文化祭二日目も開始の鐘が鳴り、人の波がどんどん押し寄せてくる。
校内・校外を問わず、その人だかりはたくさんだ。
「結構広いのね……この学校」
高倉咲がこの学校に来た理由。
それは。
「……夕夏」
彼女は、夕夏の前の学校での親友だった。
しかし、とある事件がきっかけとなり、その関係もまもなく崩壊してしまったのだが。
「とりあえず、まずは夕夏が何組にいるのかを聞きに行かなくちゃ」
とはいっても、周りにいる人のほとんどが、本日文化祭があるということでやって来た他の
学校の生徒、もしくは親、もしくは一般人である。
学生ももちろんいるのだが、どう見ても自分より年上の人ばかりであり、一年生である夕夏の
クラスなど、とても分かりそうにもない。
「……こりゃ相当の時間がかかるわね」
早速ながら、咲はこの難航さを思い知らされることとなった。
午前9:45。
1−B執事喫茶も、まもなく開店を迎えていた。
その店には、昨日とは打って変わって、女子の来客率が高かった。
一番人気は、もちろん、
「お帰りなさいませ、お嬢様」
来客者がやって来る度に、ウエイターである男子達はその人物に向かってそう挨拶をする。
これが男子なら、お嬢様の部分がご主人様になるらしい。
「さてさて、一番人気の木村健太さん」
「……いきなり何さ、吉行」
吉行が何やらニヤけた表情で健太を見ながら、そう話しかけてきた。
ここで大貴がいたとしたら、『キモいからやめろ』とか言っていただろうか。
「さすがは健太の力だな。面白いように人が入ってくるぞ。しかも狙い通り同年代の女子ばかり」
「まぁ……そうだね」
答える言葉がみつからなかった健太は、とりあえずそう答えておいた。
「本当に休む暇がなくなって、ある意味なけてくるよ」
「忙しい分にはいいじゃないか。来なくて暇するよりは」
「……それもそうだな」
その情景を思い浮かべたのか、吉行はあっさり同意した。
ちょうどその時。
(ガラッ)
教室の扉独特の音と共に、来客者がやって来る。
「そら来た。健太、行くぞ」
「そうだね」
健太と吉行、その他今は手の空いている者は、来客者のところまで近づき、
「「「お帰りなさいませ、お嬢様」」」
お決まりの文句と共に、歓迎した。
数分前。
かなえと美奈、美空にマコの四人は、一緒に行動していた。
途中まで夕夏とミサも一緒だったのだが、行きたいところがあったらしく、二人と四人で行動することとなったのだ。
「それにしても、相沢さんの髪って、綺麗ですね」
「へ?そうかな……ありがとう」
突然美空は、かなえの髪について褒める。
「あら、あなただって、出るところが出てるじゃない」
「へ?……っ!!」
美空は、美奈のその発言がどのような意味を持つのかを理解したらしい。
「ど、どこを見て言ってるんですか!?」
「ん?胸」
えらい早くにそう答えた。
「美奈……解答が早いよ」
「……う〜」
その時、マコが唸りだした。
「ど、どうしたの?雛森さん」
何やら負のオーラが出まくりのマコに対して、勇敢にもかなえが尋ねた。
「……ずるい」
「へ?」
「ボクだけ……全然ない」
マコは、自分だけ『ない』ことに対して、不満を感じていた。
「ああ……胸の話ね」
「……強調しないでくれるかな」
やけに一部分のみを強調する美奈。
「なら、いい方法があるわよ」
「え?本当に?」
「ええ。というわけで、本日は特別にゲストを招待してるわ」
「用意がいいんですね……」
改めて美奈のスゴさを実感させられる美空だった。
「では本日のゲスト、最近名前が変更した、可愛い女子捕獲しちゃうぞ♪ワフ〜!(21)じゃないぞ♪そんなこと言う奴は逮捕しちゃうぞ部の部長こと……」
「ストップ!ストップ!ダメ、その人呼んじゃダメ、絶対!」
マコは全力で拒否する。
あの日のトラウマが蘇って来たのだろうか。
「ダメと言われても……もういるし」
「うぇぇ!?」
「ジュルリ……ハァハァ」
危ない息づかいと共に、その人物はやって来た。
「食べていいの?食べていいの?」
「どうぞご自由に」
「ダメだってば!!」
マコの抵抗虚しく、餌食となってしまった……。
まさにその時だった。
「あの……ちょっといいかな?」
突然、かなえ達は何者かに声をかけられた。