その137 文化祭 6番目
「いやぁ〜相変わらず健太はお強いことで。少しその力を分けてくれよ」
「それは無理……」
食事も済ませた健太達は、昼から休憩時間に入るかなえとマコ、美空も追加して、行動していた。
現在時刻、2:43。
一日目も終盤に近付いてきた時間である。
「さて、次で回る所で最後にして、とりあえず今日は教室に戻るか」
「そうだね……時間も結構ギリギリだし」
ちなみに、夕夏はまだ仕事をやっていて、美奈に関してはどこにいるのか分からない始末である。
「まったく、どこにいったんだろうか、美奈さんは」
「朝は仕事やってたから、きっと今頃校内のどこかにいると思いますよ」
「ん〜なら、外で露店の食べ物食いつくしてるとか?」
「……ありえるな」
その様子を頭に思い浮かべたのだろうか。吉行は、あきれた顔でそう呟いていた。
「それはともかく、どこに行くよ?」
「う〜ん……そうだ!」
健太は何かを思い付いたらしい。
「どこか行くあてがあるのか?」
大貴のその問いに、
「うん!えりなさんのクラスだよ!」
「……ああ!」
吉行も気付いたみたいだ。
「ここからでも近いしな。俺は賛成だ」
「私も賛成!」
「もちろんボクもだよ!」
「わ、私も……」
他の全員も、どうやら賛成ということで異議はないようだ。
「それじゃあ早速行こうぜ!」
「だな。善は急げって言うしな」
健太達は、えりなのいるクラスへと向かった。
「おお……これまたベタなお店だな」
「いや、これ完全にフリマだから」
健太達が行った先では、教室内が完全にフリーマーケットと化していた。
ところ狭しと並ぶ古本やら中古のゲームやら、服やら装飾品やら。
そのすべてが中古品ではあるが、品揃えのみで言えば、かなり豊富な部類に入るだろう。
「よくこの企画が通ったね……」
「いや、この企画が通ってないんなら、俺達のクラス企画も通らないって……」
「……ですね」
吉行の突っ込みに対して、美空も賛成する。
「まぁ、来ちゃったものはしょうがないし、見ていこうよ」
「それもそうだね」
かなえ先導のもと、健太達はその中へと入った。
「……あ、中川だ」
入ってすぐに、古本コーナーで、見知った顔をみかけた。
先程まで話題になっていた人物であり、マンガ・アニメをこよなく愛する人物と言えば……。
「あら、みんな揃ってどうしたの?」
「美奈さんこそ……まさか今までずっとここにいたの?」
そう。
ご存知の通り、美奈であった。
「来てくれたんだね!健太君!!」
「この声は……音羽さん?」
その時。
健太の耳に、聞き覚えのある声が入ってきた。
音羽の声である。
机のバリケードから出てきた音羽は、健太の顔を見るなり、途端に笑顔になった。
「……だれ?」
しかし、他の人達は、音羽のことを知らない。
いぶかしげな目で見るマコと、何かを思い出したかのようなかなえ。
何だか目がキラキラ輝いている吉行に、ポカンとしている美空。
そして、あくまでも態度を崩さない大貴に、もともと何も変わってなどいない美奈。
そんな彼らに、健太は紹介した。
「この人は、生徒会の人で、水島音羽さん」
「よろしくお願いします」
(ペコリ)
音羽は、全員に向かってお辞儀をして、そう言った。
次回辺りで終わりに出来るといいな