その135 文化祭 4番目
まだまだ続きます文化祭。
今回は、何だか凄い光景が……
「結局健太の一人勝ちかよ〜」
「まっ。想定内の出来事だな」
がっかりする吉行に対して、そこまで落ち込んだ様子を見せていない大貴。
健太は、そんな二人を見て、微妙な顔をする。
「まぁ、そんなこと言わないでよ」
健太は、大きなぬいぐるみが入った袋を持ちながら歩く。
「けどよ、何故に景品をそっちにしたんだ?」
吉行は、健太が持つぬいぐるみを見ながらそう言った。
「美咲にこれをプレゼントしようかなと思って」
「なるほどな……」
その意図がつかみ取れたのか。
吉行と大貴は納得した。
「まっ。他にもいろいろ回ってみて、それからお昼に我がクラスへと戻りますか」
「そうだね」
「異議なし、だな」
三人は、別の場所へと向かうことにした。
そして、時間もちょうどよくお昼時となった。
「あ〜腹減った」
「そうだな……とりあえず教室に戻って来たはいいものの……」
「何この行列?」
健太達は、自分達の教室の前の様子を見て、驚愕した。
かなりの大行列が出来ていて、待ち時間も相当長かった。
メイド喫茶というだけあって、来る人達のほとんどが男子なのだが。
「……なんか、ヤバそうな雰囲気出してる人達もいるんだけど」
吉行が見たその先には、
「この学校に、新たな萌えがあるでごさるか?」
「何でも、今話題のMAKOちゃんのメイド服姿が見れるにゃりよ」
「あ〜早く見てみたいっす!!」
「……絶対あいつらつまみ出した方がいいって」
物凄い形相で、何やら『萌え』について熱く語る三人組は、後程判明したことだが、かなりのメイド好きであり、某村付近にあるメイド喫茶的な場所の常連客だったらしい。
「さて、俺達も並ぶか」
大貴のその言葉にならって、健太と吉行も並ぼうとした。
その時だった。
「あなた達は、ここから入っちゃっても構いませんわよ」
「その声は……佐伯か!」
扉から出てきた夕夏は、手招きするように健太達を迎い入れる。
「でもいいのかな?こんなにお客さんいるのに……」
申し訳なさそうな表情を浮かべる健太に対して、
「いいじゃねえか、別に。店員さんがどうぞって言ってくれたら、断る理由なんてないぜ」
と、吉行はご好意に預かることにした。
「まっ、それもそうだな」
「……それじゃあ、お言葉に甘えて」
健太も納得したところで、三人は別の入り口より中へと入っていった。
そして、見た。
「「「……うわぁ」」」
そこには、男達の情熱があった。
メイド服を着た女子達が接客をし、明らかヤバそうな客が、そんな彼女達に様々な要求をする。
ほとんどの要求は無視しているのだが。
「三名様ご案内よ!」
夕夏がそう告げると、女子達が三人に近づいて来て、
「「「お帰りなさいませ、ご主人様!!」」」
と、お決まりの言葉を言っていた。
「す、凄い……」
「予想以上の徹底ぶりだな」
「GJ!!」
健太と大貴の二人は、中の威圧感に押されてしまい、吉行はかなりテンションが高くなっていた。
とりあえず三人は席につき、注文をとる。
その時健太達の元にヤって来たのは、
「ご注文は何に致しますか?ご主人様♪」
かなりノリノリの状態のマコであった。
「マコ……ノリノリだね」
「だってこの服、可愛いんだもん!」
(クルクル)
その場を回転しながら、笑顔でそう言った。
「それじゃあ注文は……」
健太達が注文を済ますと、
「かしこまりました。ちょっとだけ待っててくださいね、ご主人様♪」
注文はきちんと聞いていたらしいマコは、そのまま厨房らしきところへと戻って行った。