その133 文化祭 2番目
文化祭二話目です。
この話、いつまで続くかな?
「さて、今日は待ちに待った文化祭当日だ」
そう教室で宣言するのは、1−B担任の外川だ。
最近判明したことなのだが、外川は、行事になるとどうやらやる気を出すらしい。
「外川……行事ごとにやる気を出すのは、教師としてどうかと思うわよ」
「中川。いい加減に先生をつけることを覚えろ。それに、俺はいつでもやる気あるぞ」
外川は、そう美奈に伝える。
「それじゃあ実行委員の二人。始めてくれ」
「「はい」」
健太とかなえは、外川の言葉に答える。
前へ出て、今は何も書かれていない黒板の前に立つ。
教室内は、喫茶店風に改造されていて、準備万端だった。
「じゃあこれからの予定を説明します」
「文化祭は今日・明日の二日間で、この教室では喫茶店をやる。それで異議はないですね?」
「まぁ、もう何を言っても仕方ないからな」
他の人達は、みな賛成という感じを出していた。
最も、今から反論した所で、何かが変わるわけでもないのだが。
「本日一日目は、女子によるメイド喫茶。明日二日目が、男子による執事喫茶。この案に
異議のある者は手を挙げてください」
手を挙げる者は誰もいない。
すなわち、全員賛成ということだ。
「それでは予定通り、本日はメイド喫茶1−Bということに決定致します」
「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」
健太からそう告げられた瞬間。
クラスの男子からの歓声があがった。
仕事がなくて喜ぶ者。
ただ単にメイド服を着た女子を見たくて歓声をあげている者、など。
理由はあまりにも不純であった。
「あのね……明日にはあんた達が働くの、忘れてない?」
「「「「……」」」」
一斉に黙りこむ。
それだけ、ミサの言葉は強かった。
「よっしゃ!健太、とりあえず昼食時にここに戻ってきて、今は遊ぶとしようぜ!」
「う、うん」
いつになくハイテンションな吉行に、健太は少しついていっていなかった。
大貴は、吉行のテンションの高さに、呆れすら感じていた。
「男子はこれで解散です。女子は今から時間分担をしますので、集合してください」
かなえはそう言って、女子を集める。
男子は、これ以上この場にとどまっていても無駄だと察したのか、全員外に出た。
「で?これからどうする?」
「どうするって……まだ20分はあるし」
「まっ。とりあえず校内を歩いていればいいだろ。明日はどうせ仕事で遊べないんだ。今日の
うちに遊んどこう」
「そうだね」
結局、健太・大貴・吉行の三人で行動することとなった。
「とりあえず、まずは1−Aに行ってみる?」
「1−Aって、何やってるんだったっけ?」
「確か……スポーツフェスタとか何とか……」
「何だそりゃ?まぁ、遊ぶにはちょうどいいな」
相馬学園の文化祭は、クラスそれぞれで出すものが違う。
最も、例外もあり、クラス合同でやるところもあるのだが。
その出し物は様々で、喫茶店・展示・演劇などなど。
多種多様の出し物が存在するのだ。
「んじゃ、とりあえず行こうぜ」
「……ところでよ、健太」
「何?大貴」
「いきなり1−Aに行こうって言ったけど……狙ったか?」
「え?何のこと?」
大貴は健太にそう尋ねるが、健太はまったく何のことか理解していないらしい。
「……そうか。ならいいんだ」
「何?1−Aに二ノ宮さんがいるから、狙ってるんじゃないかって思った?」
「ばっ……そうじゃねぇよ!」
珍しく狼狽する大貴。
その様子を見ていた吉行が茶化し、大貴が吉行の顔を陥没させる。
「……大貴、それはやりすぎ」
ともかく、三人は1−Aに行くことにした。
現在時刻、9:02。