その130 体調を崩して 3番目
おっと!
いつの間にかもう130話目に突入だ!
……だからどうしたんだよ。
「う〜」
時間で言えば、もう授業が終わる頃と言った所。
健太は未だに、布団の中で眠っていた。
時折目を覚まし、体温を測る。
今も、体温を測っている所だった。
(ピピピピッ)
体温計から発せられる、無機質の音が健太の耳に届く。
まだ完全に治っているわけではないのか、体はまだ少しフラフラしていた。
「……37.5℃か。少し引いてきたかな」
朝に測った時には38℃近くあったので、治ってきているといえばいえるだろう。
「……この調子なら、明日までには学校に行けるかな」
健太は、布団の中に戻ってきて、そう呟いた。
見上げると、茶色の天井が見える。
アパートの一室に一人で眠る。
数ヶ月前だと当たり前だと思っていたこの状況。
しかしそんな状況は、わずか数週間でなくなった。
ただ、健太は思うのだった。
「……一人よりは、二人だよね」
今はアパートの健太の部屋には、美咲が居る。
そんな状況のありがたさ、というか実感を、改めてこの瞬間に感じるのだった。
そんな時だった。
(ピンポ〜ン)
「……誰だろう?」
突然鳴った、チャイムの音。
この音を鳴らした人が、もしも美咲なのだと言うのなら、いや、そんなことはないだろう。
何せ美咲はこの部屋の住人だ。
そんなことをしなくても、普通に扉を開けて入ることだろう。
「は〜い……」
少し体をフラフラさせながら、健太は玄関へと向かう。
その時。
「無理はするな、健太!お前は布団で寝てていいって!」
外から声が聞こえる。
その声は、聞き覚えのある声。
というよりも、いつも聞いている声。
「その声は……吉行?」
そう。
吉行の声だった。
「おっと。いるのは俺だけじゃないぜ?」
「え?」
吉行の声が外から聞こえると同時に、扉が開かれる。
鍵は閉めていたはずなので、それが何を意味するのかを、健太は理解した。
「美咲。帰って来たんだ」
そう。
吉行を先頭に、大貴・マコ・かなえ・美奈・夕夏、そして美咲の姿があった。
みな一様に、心配そうな顔を浮かべていた。
ただ、美奈だけが含みのあるような笑みを浮かべていた。
「何で笑ってるんだ?お前」
「だって、こんなシチュエーション、なかなかあるものじゃないもの」
「……何企んでるんだよ、お前は」
大貴が美奈にそう尋ねたが、当の本人は、ただ笑うだけで質問には答えなかった。
「わざわざ僕のためにお見舞いまでしに来てくれて……ありがと、う、ゴホゴホ!」
咳混じりに、健太はそうお礼を言う。
「何言ってんだよ、健太」
「私達……友達でしょ?」
「友達が風邪ひいたらなるべく早くに看病する、困ったことがあったら相談にのる。当たり前のことだ」
吉行・かなえ・大貴の順番で発言をする。
「それにしても、あなたのような強い人が風邪をひくなんて……よほど強い風邪なのかしら?」
夕夏が気になって、健太にそう尋ねる。
「うん……朝は38℃くらいあったからね。それでも今は37℃まで落ちたけど」
「よかった〜。ボク、健太君のこと心配してたんだよ」
心配そうにそう言うマコ。
そんなマコに、健太は、
「ありがと、マコ、みんな。僕を心配してくれて」
と、笑顔でそう言った。
「本当に熱さがって来てるの?お兄ちゃん」
美咲が、そのことが気になっているのか、そう尋ねてきた。
「うん。熱は大分ひいてきてるから。薬が効いてるんだと思う」
健太は、そう答えた。
「な、なら、確かめてみるね」
「え?どうやっ……てぇ!?」
健太が驚くのも無理はない。
健太のオデコと重なるように、かなえのオデコがあるからだ。