その128 体調を崩して 1番目
新編始まりです。
外は秋独特の温かくて過ごしやすい、ポカポカとした天気。
まだ薄手の服で十分だろうと、何人かの生徒達は、夏服のまま学校に来ている。
だが、もう学校へ行く時間だというのに、健太は布団の中で眠ったままだった。
「……」
(ピピピピ、ピピピピ)
「鳴ったよ、お兄ちゃん」
美咲は、健太にそう言う。
「うん……」
その美咲の言葉を受けて、健太は脇から何かを取り出す。
その何かには、こう記されていた。
『38.1℃』
「風邪だね、お兄ちゃん」
「……そうみたい」
その声は、いつもの声とは少し違い、ガラガラだった。
そう。
健太は完全に、風邪をひいてしまったのだ。
「大丈夫?お兄ちゃん」
「うん……多分平気だと、おも……ゴホゴホ」
「お、お兄ちゃん!?ほ、本当に大丈夫なの!?」
「大丈夫だよ……だから、美咲は早く学校に行って」
健太は、美咲を心配させまいとなんとか努力するが、結局それは無駄に終わる。
美咲は、
「今日はお兄ちゃんと一緒に休む!」
「そういうわけにもいかないよ……美咲だって学校あるんだから」
健太が休むなら、自分も休んで看病すると言い出したが、健太がそれを止めた。
「じゃあ、なるべく早く帰ってきたら、どうかな?」
そんなわけで、健太がそう提案してみると、
「うん!授業が終わったら、今日はすぐに帰るからね!」
美咲は笑顔でそう答えた。
「そっか……それじゃあ、早く学校に行ってきなよ……ゴホゴホ」
「わかった……だからお兄ちゃんも、無理はしないでね?」
「……うん」
健太は、心配そうに健太の顔を見る美咲にそう返事をする。
その後、美咲は笑顔になり、
「じゃあお兄ちゃん、行ってくるね!」
「行ってらっしゃい……」
(バタン)
そのまま学校へと向かった。
「……はぁ」
(ドスン)
健太は、布団の上へとダイブした。
「……とりあえず、まずは学校に電話しよう……ゴホゴホ」
電話の方まで向かい、受話器を取る。
学校の電話番号を押し、かかるのを待つ。
短い待ち受け音の後、電話はかかった。
「もしもし……」
「その声は、木村か?」
「外川先生……ですか?」
「どうした木村?声がガラガラだぞ」
電話に出たのは、外村だった。
外村は、すぐに健太の声の異常に気づき、そう尋ねる。
「はい……実は、風邪をひいてしまって。今日は学校休ませて頂き……ゴホゴホ」
「大丈夫か?木村……分かった。今日は一日中安静にしてなさい」
「ありがとうございます……明日には多分来れると思いますので、それでは」
(ガチャッ)
というわけで、健太は今日一日中学校を休むこととなった。