番外編その3 少年の抱える想い 3番目
その3です。
番外編もそろそろ終わりにしないとな……。
そして放課後。
吉行は言われたとおりに、教室に残った。
同様に、美空も残っていて、吉行の所までやって来た。
「それじゃあ吉行君。会議室に」
「ああ……ところで、今日は何の集まり何だ?」
「学級委員の集まりです」
「いや、だから……どう言った内容で、学級委員が集められてるんだ?」
「それは……私にも分かりません」
どうやら正確な内容は、美空自身も把握できていないようだ。
「はぁ……その旨を伝えない辺り、さすがは外川と言うべきか……」
恐らく美空に学級委員の集まりのことを伝えただろう外川に向かって、そのような文句を
呟く。
「集まる場所はここでいいんだな……」
吉行達は、会議室の前まで辿りついた。
以前ここは、文化祭実行委員の集合場所にもなっていたのだが、吉行達は、そのことを覚えて
いなかった。
「他の人達もすでに集まってるみたいだな……ん?今日は一年だけなのか?」
「どうやらそうみたいです。多分ですけど、一年生の行事に関する何かを話し合うのでは
ないでしょうか?」
「この先にある行事って言うと……確か文化祭の後に犬の散歩大会が……」
「懐かしいな、それ。でも、それは全学年対象だから違うと思うぞ」
懐かしい名前が出た所で、それは違うと吉行は否定する。
「そうですか……それじゃあ、行ってみないと分かりませんね」
「そうだな。そんなわけで入るか」
(ガチャッ)
扉を開けて、吉行と美空の二人は中に入る。
すでに他クラスの学級委員達は集まっていて、イスに座っている。
奥の方に座っている一人の男性が、
「来たか。そこに座ってくれ」
吉行達をイスに座るよう言った。
その誘いを受けるように、吉行と美空は空いている席に座る。
奥に座っている男性―――外川は、一同の方を向いて言った。
「それじゃあ話を始めよう。今日みんなに集まってもらったのは他でもない。11月の
犬の散歩大会の後に行われる、社会科見学会についてだ」
「ああ、そんな行事もあったっけな」
吉行は、そこで思い出していた。
相馬学園には、一年生の行事として、11月にフ○テレビに社会科見学に行くのだ。
別にそこだけが目的というわけではなく、他にもちゃんと行く所はあるのだが。
「まず、この社会科見学の正式な日程が決定した。11月21日だ」
「おしい。後一日ずれてたら、いい夫婦だったのに」
「……今はそれを言ってる場合ではないのでは?」
横にいる美空からそう突っ込みを入れられた吉行は、何だかやるせない気分となった。
「それで、班割についてだが、一班辺り4,5人で構成するよう伝えておいてくれ」
「先生、提出期限はいつまでですか?」
誰かがそんなことを尋ねた。
「そうだな……担任に来月初めまでに提出してくれ」
「分かりました」
「他に聞きたいことがある奴いるか?」
そう言って外川は見渡す。
手を挙げる者はいなかった。
「それじゃあ、今日はこれで終わりにする。解散!」
その外川の合図と共に、それぞれの荷物を持ち、外へ出る。
「……無駄に早かったな、話」
「……そうですね」
「まっ、俺達も帰ろうぜ」
「……はい」
「……うっ」
笑顔で返事をした美空に、不覚ながら吉行は心を奪われかける。
そんな状態のまま、二人は下駄箱へと向かった。