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番外編その1 少年の抱える想い 1番目

今回から4,5話は、番外編となります。

主役は予告通り、吉行です。

初めに述べておきたいことがある。

今回のこの話の主役は、木村健太ではない。

勿論、彼も今回の話には登場はする。

だが、あくまで今回の話の主役は、健太の友人、海田吉行である。

それを承知のうえで、今回の話を読んで頂きたい。

ただし、あくまでこの小説の主人公は、木村健太であるのを、忘れないで頂きたい……。















夕夏との一件があった次の日。

吉行は、いつもの時間帯に目を覚ました。

只今の時刻、AM6:25。

太陽の光が窓から射し込んで来て、部屋全体を包み込む。


「ん……」


吉行は、一旦唸ってから、ベッドの中から出た。


「お〜いい天気だな」


窓から外を見て、吉行は呟く。


「さて……着替えようかな」


壁に掛かっている制服を掴み、吉行は着替え始める。

途中、


「吉行〜早く降りてらっしゃい〜」


という、母親からの声が聞こえて来たが、


「ちょっと待っててくれよ!今着替え中だから!」


というやり取りを挟む。

その回数、通算五回。


「まったく、いくらなんでも、一分おきに言わなくてもいいじゃないか」


吉行は、そう小声で呟くと、椅子の上に乗っかっている通学カバンを掴むと、左手に時計を

はめて、階段を利用して下に降りる。

吉行の部屋は、杏子の隣に位置しており、二人とも二階に部屋がある。

一階に降りるには、階段を使う他方法はないのであった。

階段を降りきり、吉行は母親に挨拶をする。


「おはよう、母さん」

「おはよう吉行。早くご飯を食べちゃいなさい。冷めない内に」

「そんなこと気にしなくても、こんな短時間で飯が冷めるかよ」



(ガタッ)



椅子に座り、箸箱の中から自分の箸を取り出すと、


「いただきます」


と言ってから、ご飯を食べ始めた。


「……ん?杏子は?」


ふと、その場に杏子がいないことに気付いた吉行は、母親にそう尋ねた。


「杏子なら、まだ準備してるんじゃないの?」

「俺のことは急かしといて、杏子のことは何も言わないのかよ」

「女の子は準備が長いからね」

「まっ、可愛いから許すけどな!」


満面の笑みを浮かべて、吉行は言った。

その輝きと言ったら、母親が若干引いてしまう程であった。


「と、とにかく食べちゃってよ。学校に遅れるわよ?」

「言われなくても食べ終わるって……ごちそうさま!」



(ガタッ)



朝食を食べ終えた吉行は、椅子から立ち上がり、置いておいた通学カバンを掴むと、


「んじゃ、そろそろ行くか」


学校に行くために、玄関で革靴を履く。


「今日は帰りどのくらいになりそう?」

「う〜ん、いつも通りだろうな」

「そう」


そんな会話をしている内に、吉行は靴を履き終えていた。


「それじゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃい」


そう言って、家を出ようとした吉行だったが、扉の取手部分を掴む前に、ふと動きを止めた。


「行く前に、杏子の部屋に行って来ても……」

「早く学校に行きなさい」


最後まで言い終わる前に、母親に塞がれた。

仕方なく吉行は、そのまま学校に行くことにした。
















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