その118 生徒会の人々 2番目
二番目です。
今日は日曜日なのに学校がありました。
体育祭が伸びちゃうから……。
「……今年の文化祭における各クラスの予算は……」
充の話は、至ってまじめであった。
今年の各クラスの予算から、どの範囲までなら可能かなど。
どうやら充は、いざという時はやる男らしい。
「以上で説明を終了する。何か質問は?」
話を終えた充は、全員に向かって尋ねる。
一同は、無言でその答えを示す。
「ないならこれで話を終わりにする。解散!」
その合図と共に、ほとんどの人が会議室を出る。
生徒会の人は、片付けがあるからと中に残っている。
「私達も帰ろうか?健太君」
「そうだね。帰ろう」
健太とかなえは、言いながら部屋を出ようとする。
しかし。
「あ、ちょっと木村君」
端穂に呼び止められた。
「はい?何でしょう」
呼ばれた本人である健太は、思わずそう尋ねる。
「何でも歩美があなたのことを気に入ったみたいで……どうにか生徒会に入ってもらえない
かしら?」
「いや、前にも言ったとおり、僕には生徒会活動に関わる前に、部活の方が……」
「出れる時でいいのよ〜。なんていったって、ここの生徒会って結構適当だから〜」
「……それ、生徒会長がいる前で言っちゃっていいんですか?」
音羽は歩美の言葉にそう突っ込んでいた。
「まぁ、そのことに関しては事実であるから、俺からは何も言えないな……」
「充だって、生徒会に入ったのも、真鍋がいたから……モガモガ!」
「テメェは黙ってろ!俺のキャラを壊すつもりか!!」
「……元々壊れてますけど」
端穂が小さな声で呟いた。
「現実問題、五人じゃちょっと足りないんだ。できれば、君のような逸材が来てくれると、
俺も嬉しいと思う」
充の手を逃れた明久は、健太にそう言う。
「う〜ん、けど、本当に来れる時しか来ませんよ?」
「大丈夫よ。生徒会室に昼休み、もしくは放課後に来てくれるだけでいいから。あ、でも一日
一回、どっちかには顔を出すのが、一応のルールよ」
「あまり守ってないけどね〜」
「余計なことは言わないの!」
端穂は歩美を再び叱った。
「それにしても、何で少人数でやってるんですか?」
かなえが明久に尋ねる。
「それは会長の意向だ。あまり大人数でやっても、仕事をこなせる奴が少ないと、結局は
無駄な人材になってしまうからな。多い人数よりも、仕事をこなせる奴を数名生徒会に
入れて、活動する方針をとることにしたんだ……この時期は人員不足で困るがな」
どうやらこの生徒会に入っている人々は、何かしら長所を持つメンバー達らしい。
デスクワークが出来る者、送られてくる意見に対してコメントを返すことが出来る者等。
「なるほど……けど、僕力になれないかも知れないですよ?なんていったって文化祭実行委員
ですし……」
「そのことなら大丈夫だ」
充が話に加わる。
「君はオリエンテーション旅行の時に、素手で熊を倒したみたいじゃないか。そのことから、
身体能力面ではもちろん、学業面等でもいい成績を残していることは、生徒会に報告されて
いる。そして、話題性抜群……これ以上の逸材は、今までに見たことがない」
充は、素直に健太のことを褒めた。
「そ、そうですか?正直に言うと、嬉しいです……」
褒められて、悪い気はしない健太。
「それで、どうかな?」
端穂は、もう一度健太に尋ねる。
「う〜ん……本来ならお断りしたいのですが、いいですよ」
「本当!?」
何故か音羽が真っ先に反応を示した。
「え?あ、うん……えっと、水島さん?」
「名前で呼んで。健太君も生徒会のメンバーになったんだから!」
「じゃあ……音羽さん」
健太は笑顔で音羽の名前を呼ぶ。
その時、音羽の顔が若干赤くなっていたのに、健太は気づいていなかった。
「それじゃあ、とりあえず明日の昼休みに生徒会室まで来てくれないか?」
「了解しました。それじゃあ僕はこれで」
健太は、かなえと共に、会議室を出た。