その10 妹の来訪 2番目
なんだかんだで第10話。
追加部分も結構盛り上がってまいりました。
今回は、衝撃的展開(?)が待ってます。
ちなみに、後2話くらい続きます。
「その話、聞いたわよ」
「おわぁ!み、美奈さん!!びっくりしたじゃないか!」
「それはどうも」
教室に入ってくるなり、音もなく美奈は健太達に近づいて見せた。
「お前な……音もなく近づくとか、忍者か?」
「そんなことはどうでもいいわ」
「よくねーよ」
吉行の突っ込みを無視して、美奈は話を続ける。
「ところで、妹さんが帰って来るみたいね」
「うん、まぁ……そうだけど」
「それは……毎日がパラダイスね」
「何の話だよ……」
呆れながら、健太は突っ込んだ。
「つか、言いたいことはそれだけか?」
「……波乱の予感がするわね」
「へ?」
「……嫉妬には気をつけなさい」
「あ、ちょ……」
(ガタッ)
それだけを言うと、美奈はさっさと座ってしまった。
「……なんだったんだろう?」
「さぁ?」
健太と吉行は、疑問を頭に残して、授業へと望むこととなった。
その授業中、かなえは健太のことをじっと見ていたのだが、知る由もない。
「さて、食堂行こうぜ」
「う、うん」
昼休みになり、健太と吉行の二人は、昼食をとる為に食堂へ来ていた。
周りには、ラーメンを啜っている人や、カレーを食べている人など、その昼食は多種多様だ。
「今日は何食べようかな〜」
「う〜ん、とりあえず今日はうどんでも食べようかな」
「お前、もう少し贅沢してもいいんじゃねぇのか?」
吉行は、これからうどんの食券を買おうとしている健太に向かってそう言った。
「いや、別に安いからこれ選んでるわけじゃないんだけど……」
「違うのか?」
「……否定出来ないところが痛い。けど、うどんはうどんでおいしいよ」
食券とうどんを交換しながら、健太は言った。
「……んで、さっきの話だ」
(コトッ)
ラーメンを頼んできた吉行は、健太の向かいの席に座る。
箸を割り、ラーメンを食しながら、吉行は言った。
「……これ以上何話しても無駄な気もするんだけど……」
「まぁいいじゃねぇかよ。可愛い妹に『お兄ちゃん大好き』なんて言われてんだからよ」
「……吉行、気持ち悪いよ」
「余計なお世話だ!!」
素直な感想を述べた所、吉行に怒鳴られた。
「大体、どうして健太の周りには、いつもいつも可愛い美しい女の子ばっかり集まってくるんだよ!
俺に少し分けてくれたっていいだろう!?」
「いや、そんなこと言われても……それに、言ってる意味が分からない」
「いいよなぁ健太は。明日から可愛い女の子と一つ屋根の下だもんな〜」
「可愛い女の子って……美咲はいも……」
そのときだった。
(ガッシャ〜ン!)
「……へ?」
皿が割れる音がする。
その皿からは、食べられることのなかった食事が零れている。
そのそばに、かなえはいた。
「……健太君、女の子と、一緒に住んでるんですか?」
「あ、いや、別に住んでるわけは……」
「まぁ、まだ住んではいないな。明日からって所か」
「大事な部分を省かないでよ!もう少し大事な所があるでしょ!!」
健太がそう言っていたが、もう遅かった。
「そう……だったんだね」
(ダッ)
「あ、かなえさん!!」
「……なんだか、話がややこしくなったな」
「ほとんど吉行のせいでしょ」
(ダッ)
かなえを追いかけて、健太も走って行った。
「……まぁしかし、何でまた付き合ってもいないのに、ショックなんて受けるんだろうな」
吉行は、二人がいなくなった後、一人そう呟いた。