その111 あの日の約束 8番目
やっと「あの日の約束」編も終わりです。
無理矢理終わらした感がぬぐえませんけど……。
「ここは……公園?」
「そうだよ。たまにはゆっくりお話したいって思って」
健太達がやってきたところ。
そこは公園だった。
周りには時間の関係もあってなのか、健太達以外に人影は見えない。
最も、この中には美咲と杏子の二人もいるのだが。
「確かに、この頃忙しくて、まともに話なんてしてないよね。最後に会ったのって確かこの前
約束した時を除くと、球技大会だったもんね」
「それも、大した会話出来なかったし。二人とも選手として競技に参加してたから」
そう。
あの日、二人は競技の参加者として、あまり話をする時間がなかったのだ。
夏休みも、部活が重なってということもあり、会う機会があまりなかった。
というより、会えていなかったりもする。
「それじゃあ今日はここで、ゆっくり話でもしようよ」
「うん」
健太達は、ベンチに座り、そこで一時間くらい話をしていた。
互いの学校での様子。
健太達の学校に、夕夏が転校してきたこと。
相変わらず直樹はキャラが濃いこと。
互いの友人のこと。
その他いろいろ……話すことはたくさんあった。
そして、一時間が経過した。
「もうこんな時間なんだね」
「そろそろ、帰る時間かな?」
とうとうこのお出かけも、終わりの時間がやって来た。
「それじゃあ、途中まで送ろうか?」
健太が愛にそう提案すると、
「ううん。ここでいいよ」
愛は、健太の提案を断った。
「……今日は楽しかったよ、愛」
「……私も。久し振りに健太と二人きりで外に出られて、楽しかった」
笑顔で、互いにそう言う健太と愛。
「……また、健太と一緒にお出かけ出来たらいいんだけどな……」
「あはは。時間があったら、またどこかへ行こうよ」
「うん、そうだね」
ベンチに置いてあった紙袋を持ち、愛は立ち上がる。
「また今度、会えたら会おうね、健太」
「うん、またね」
手を振る愛に対して、健太も手を振って愛を送る。
そして、本日の二人のお出かけは、終了した。
「……さて、美咲・杏子ちゃん。そろそろ出てきても大丈夫だよ」
いきなり健太は、そう呼びかける。
すると。
「あれ?もしかしてばれてたの?」
「いつから……?」
「ファーストフード店に入った辺りから。何となく気づいてたよ」
どうやら二人がつけていることを、割と早めに気付いていたらしい。
「あまり人の後ろをこそこそついて行くなんて、感心できないよ、二人とも」
「「ご、ごめんなさい……」」
素直に謝る二人。
「まっ。僕は別にいいけどね」
笑顔で健太は、二人を許した。
「それじゃあ、僕達もそろそろ家に帰ろう。杏子ちゃん、送っていくよ」
「あ、ありがとうございます」
こうして、少し騒がしかった日曜日も、無事に過ごしたのだった。
そして月曜日、新たなる波乱が健太を待っていた。